ほんの一瞬の出来事に

身動きできないでいた・・・・・

 

松本??

 

 

 

 

 

 

 

智くんの顔がよぎり

くちびるに当たる冷たい感触から顔を避けた

 

 

冷たい感触は、なおも俺を追いかける

 

 

温かいくちびるしか知らない俺は

その冷たさに驚愕した

 

 

離れなくちゃいけないのに

身体が動かなかった

 

 

その時、ありえない方向からの力強い衝撃は

そんな俺の体を突き飛ばす

 

転がった身体を起こしながら

振り向けば・・・・・

 

真っ赤な顔の智くんが視界に入ってくる

 

 

 

 

 

 

 

松本の前に立ち

穏やかな顔しか知らない俺に

初めて見せる怒り

 

それを見ている松本の表情が一瞬曇り

固まる・・・・

 

 

 

松本・・・・・

 

 

「・・・・言っただろう?翔くんは渡さないって」

 

 

 

「別に・・・欲しいわけじゃ無い。大野さんでも櫻井翔でもいいよ。キスして?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

 

「大野さんが思うほどあの人は・・・思ってくれていないかもよ?」

 

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

 

「まさか、キス以上までしてないとか??櫻井翔は、させてくれなの?」

 

 

 

 

「だったらなんだよ、悪いか?松潤がどう思うと勝手だけど

二度と、手を出すな!あれは、俺のだから、誰にも触らせない!」

 

 

智くん・・・・・

 

 

 

しばし、無言で動かない二人を交互に見ながら

 

どうしようかと思考を巡らせていた・・・・・・

 

わざと悪態をつく松本・・・・本当は・・・・

 

ただ、寂しいだけ?

 

構って欲しいだけ?

 

 

 

「くそつまんねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな声をあげ、思い切り砂利を蹴散らかして俺を一睨みすると

 

一瞬何かを言いかけて・・・

足早に去って行った

 

 

 

松本・・・・お前

 

自分でも気づいていないのか・・・

 

 

 

 

砂を払い、ゆっくり立ち上がり智くんに歩みよる

 

 

 

松本の背中をずっと見ている智くんは

 

気づいているのだろうか?

 

 

 

振り返った智くんと目が合う

 

智くん・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・んでだよ、」

 

「へっ?・・・智くん?」

 

「なんで、触らせるの!!」

 

「・・・っと、その・・・・ゴメン (ってか、智くんだって、、、)」

 

 

あまりの・・・迫力にそれしか言えなかった

可愛い顔をしているのに

智くんを怒らせると結構・・・怖いということがわかった

 

 

・・・・・・ムンズと俺の腕を掴み

プリプリしながら速足で校舎の影に入ると

 

俺を壁に押し付けて

 

少~しだけ怒ったような顔を

 

コクリと横に傾げる

 

・・・・・・か、可愛い!!!!

 

 

 

 

「なんか、することないの?」

 

「えっ?・・・・・っと」

 

 

「・・・・・無いの?」

 

 

「・・・・何かって、言っても (なんだぁ?この流れ)・・・・」

 

 

 

「・・・・・ん!」

 

 

智くん???

 

 

 

顎をつきだして口をへの字に曲げてる

 

 

 

「・・・・・ん!!」

 

 

えっ、、、、これって

 

その・・・そういうことぉ~~~!?

 

 

ゴクリと・・・喉が鳴る

 

・・・・・・・癖か?これは

 

 

 

 

西日が差し込んで

 

智くんの顔に影ができる・・・・・俺の影

 

 

 

だんだん大きくなる影が智くんの顔を覆った

 

 

俺の知っている・・・・

 

温かい感触に触れる

 

待ちきれない温もりは俺をやんわりと包み込んでくれた

 

 

 

 

 

季節が変わる前の・・・

・・・・・・・・あるひと夏の経験

 

 

 

 

 

 

 

※ ・・・・・夏が終わり慌てて仕上げたのですみません!!!

  松本さんの気持ちは・・・薄っすらで申し訳ないです!

  好きに想像していただければ幸い。