智くんがまた別れた・・・・
いつもの如く、相手と初めての夜を迎えた後に
そうして・・・・お決まりのセリフを吐くんだ
「・・・・・翔くん、俺ってヘタクソなのか???」
真顔で聞いてくる内容ではないのだが
ここはいつものように答えないと後が面倒になるから(苦笑)
「・・・・・智くんが、下手なんじゃなくて相手が悪かったんじゃない?」
一つ大きなため息を吐くと
情けない顔つきで俺を見上げる
「・・・・毎回、こんなんじゃ、それしか思い浮かばないんだよなぁ」
あれ、今回は・・・珍しくこだわっている?
よほど・・・・お好みの相手だったのだろ
「智くんさぁ、例え、下手だったとしても、俺には確認することができないからなぁ」
「そりゃ、そうだけど。・・・・・一般論で言えばねぇ、俺は普通だと思うんだけど、、、、」
「だけど?」
「・・・・・・そのぉ、ことが済んで、朝起きると・・・・・いないんだよ!」
「・・・・・いないって、部屋にいないってこと?」
「うん、綺麗にいなくなってる・・・・・」
「・・・・・で、あなたどうしてるの?その後?」
ばつが悪そうにポツリ、ポツリ確認しながら状況を説明していく
智くんは、自分に言い聞かせている作業にも思えるくらい
毎度同じことを言うんだ
「・・・・で、なんで帰ったのって、電話するでしょ、そうすると、」
「そうすると?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「そうすると、なに?」
できるだけ柔らかく話の続きを聞いてみると
不意に俺から視線を外して・・・・・
唇を尖らせながらぼそっと呟くように答えるんだ
「・・・・・・・櫻井君によろしく・・・って」
「分けわかんないだろ??・・・・いっつもそうなんだよ、」
あぁ・・・・・また、一つ俺の心に黒い花が咲く
その言葉を聞くたびに・・・・・
猛烈にときめく俺がいるんだ
まだ、当分時間はかかりそうだけど
確実に・・・・俺に近づいてくる智くんを感じる
知ってる?あなたと一晩過ごす連中は
必ず俺に会いに来るんだよ
「・・・サクライ ショウって誰?」ってね(笑)
睦ごとに出てくる名前が俺の名前って
最高じゃん!・・・・・
それにもう一つ・・・・・
あなたの選ぶ相手は例外なく俺に似ている
それって・・・・・
意味があると思っていいんだよね?
隣で思い切りしょげてる智くんの背中にそっと手を添えて
「大丈夫だよ、きっと、運命の人に会えるから」
いつもと同じ言葉を伝えて
ふにゃりと微笑む智くんを確認する
「・・・・・翔くんに、そういってもらえると…元気出るな、(笑)」
「・・・・・こんなことでいいならいつでも言うよ、」
「んふふ、いっそ、翔くんだったらいいのになっ、」
・・・・・・・・そうだね、早くそのことに気付いてほしいものだ
智くん・・・・・
あと、幾度こんな時間を過ごすのかな?
早く・・・・こっちにおいで
俺は、いくらでも待ってるから(笑)
あなたの中の俺に・・・・早く気が付いて
智くん・・・・
俺が待てるうちにね・・・・・・
fin


