「潤、今日はどこに連れていくんだ?」
「・・・・・なんで、毎回そんなこと聞くの?どこにだって行くクセに(笑)」
・・・・・・・・確かに、潤が連れて行ってくれるところは
どこも興味深い
あの人の影が付いて回るから
もしかすれば、そこで出くわしたりしやしないかと
僅かな期待すらい抱いている
潤には失礼極まりない話だが
それを承知で俺を連れまわすのだろう
「・・・・・・・ここさ、俺が最初に飯食い連れてきてもらったんだ」

そう言って懐かしそうに見渡す
俺の知らないあの人との時間を過ごせた潤に
小さな嫉妬心が芽生える
そんな俺を見て潤はすかさず突っ込む
「いま・・・・羨ましいと思ったろう?」
「・・・・・・・・・思ったよ、」
「フンッ、自棄に素直だな(笑)」
「どう転んだって過去には戻れないからな・・・・」
「なぁ・・・・翔さん俺は逆にあんたが羨ましいよ・・・」
「なんで?」
「・・・・・・だって、一時でも、あの人の心に入り込んだから」
心に・・・・入り込んだ?
「逢って間もない人間にそこまでならんだろう?(苦笑)」
「・・・・・そうでもないさ、現に翔さん・・・あんたは、まだその心にあの人がいるだろう?」
「えっ?・・・・・・・あぁ、・・・それは、ただ俺が一方的に・・・・」
チッっと舌打ちをして俺の言葉を止めた潤・・・
「なんでかなぁ~・・・・俺って見る目はあるのに叶わない恋ばっかするんだ!」
・・・・・・叶わない、恋か
「叶わないものかな?・・・・」
「あぁ、叶わないね、いっそ諦めて・・・・オ、新しい人探せば?」
新しい恋?・・・・
考えたこともなかった・・・・・
「悪いが、俺はかなり一途らしい(苦笑)」
「フンッ・・・・鈍い奴・・・・」
「何か言ったか?」

「別に」
逢いたい・・・・
もう一度あの人に逢いたい
俺は目の前の熱い視線に気づくことなく
思いを馳せらせていた・・・・
