ジ---------ッ
・・・・・・・・・・・・・。
不機嫌？？
まずい、非常にまずい！！
すっかりタイミングを逃している
せっかく智くんがくれた金平糖
俺の・・・・心の代弁者よ、
ど、どうやったら自然に金平糖を
食してくれるのだ？？
心なしか・・・・・瓶をを眺める回数が
減ってきたように感じる
まずい・・・・智くん
持っていてくれてるんだよね？
その・・・・・俺の金平糖(照）
「翔くぅん？」
「へっ？」
不意に智くんが甘い声で俺を呼ぶから
今、考えていたことが丸見えになった気がして
慌てて手で振り払う
「・・・・・なんの、御呪い？」
怪訝な顔で俺を見る智くんに
気づかれ無いよう満面の笑みで応える
「はははっ、む、ムシがね飛んでて・・・・」
「ふ～ん・・・・・ムシねぇ～」
・・・・・・・・・・・・・。まずい
何かのモードに入った時の顔になった、、、
「なに？・・・・・智くん」
「別に・・・・これといって・・・用事はないかな？
頼んだところでへたくそだし・・・・（苦笑）」
「そ、そうなんだ・・・・へ、へたくそ？？」
「翔くんは？？？俺に何か言いたいことあるの？」
「な、なんで？？」
「・・・・・なんでって、さっきからずっと俺の顔見て百面相してるから」
気づけばせっせと折り紙を器用に切り分けている
赤、青、黄色に緑、紫、水色
オレンジ、ピンク・・・・
あぁ・・・・・そうだった、去年間に合わなかった
飾りつけ・・・・
そして、去年は叶わなかった俺の願いごと
一気に思いだし言葉を失う
あの時・・・・・確かに智くんは
俺に恋人ができたらいいと
そう言っていた
俺はてっきり・・・・・誰か他の奴とくっつけと
言われているのかと思っていたが
金平糖がその考えを払拭させた
だって・・・・・・・
智くんの金平糖がとても甘味だったから
嫌がってなかったから
己惚れでもいい
智くんは・・・・・きっと同じ思いで
いてくれているはず
「さ、さとしくん！！！！」
大きな声に驚き俺を見据える智くんに
ずかずか近づき腕を掴み
ベランダまで連れ出した
「翔くん？い、いたいんだけど・・」
満天の星空に浮かぶ赤い星と青い星
二つの星の間には夜空を覆う
白いリボンのような天の川
「あっ・・・・」
ゆっくり空を見上げて智くんの顔が
綻んでいく・・・・・
「・・・・・・・年に一度の逢瀬は雨に邪魔されることもある」
「・・・・・・・なんの話？」
「だからね、アルタイルとベガのはなし」
「なんだそれ？」
珍しく智くんが知らない話に勢いを増す俺のウンチク
天の川を挟んで対角に輝く星のこと
夏の大三角形の二つの星座にまつわる話
「クスッ・・・織姫と彦星のこと？」
ぬっ！！
知ってるじゃん・・・・・！！！
「翔くん・・・・・らしいよ」
「へっ？・・・・」
「いつもそうやって話を難しくする（笑）」
「願いは至ってシンプルが一番なんだけどな」
かりっ・・・・
カリっ・・・・
どこかで聞いたような音がする
不意に腕を捕られ智くんの方に向き直ると
口の中から赤い色の小さな粒
その粒が目の前に迫ると同時に
甘い香りととろける様な
甘い味が口いっぱいに広がる
「んふっ・・・・んん・・・・・」
行ったり来たり粒が小さく消えるまで
二人の間を行き来するのは
紛れもなく金平糖で
やんわり繋ぐ掌がはなれ
俺の手の中にそっと渡された
小さな粒が一つ
こ、これって・・・・・・！！
完全に消えてしまった粒を
名残惜しそうに探そうとする
智くんの温もり・・・・・
どこにもないことがわかると
俺の口の中から
離れていこうとする智くん
慌てて握りしめていた粒を口に放る
見つめあい・・・・
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
ん？
どうすれば自然なんだ？
えっ？
あれ？
ゴクリッ
「んあぁああああ！！」
「あっ、・・・・・・・・・・・。」
んふふっ、・・・・面白い顔
頭を抱えるように雪崩落ちる翔くん
飲んじゃった・・・・もんね今、
くくくくっ
っふははははは
やっぱり翔くんは・・・・・面白い
ゆっくりでいい
ひとつずつ
叶えていこう・・・・・・
天の川にかかるいつでも会える特別な橋を
掛けられるように
二人で・・・・・叶えていこう
綺麗な星空と断末魔のようなうめき声が
妙に気に入った今年の七夕だった・・・・・
翔くん・・・・・・最高だよ！（笑）
※落ちがなくてすいません！