なんだか・・・・朝から落ち着きのない
翔くん・・・・・
目を合わそうともしない
めったに立ち入らない台所に入り浸って
何してるんだ???
潤までつきっきりだし・・・・
式に気にいられているのはわかっているが
・・・・・潤が思いのほか馴染んでいる画が
見られるとは思わなかった(笑)
いい傾向だ・・・・
『ショウ・・・・ドケ、ジャマナダケダ・・・』
「いやだ、俺がやるって言ったろう?」
『・・・・ヒガクレル、』
「・・・・だから、こうして手伝ってってお願いしたんじゃん!!」
『・・・・ブキヨウダナ』
「うるさい!!そんな事自分が一番わかってる!!!」
・・・・・ショウ
サトシの大切な人間
サトシの唯一心許した人間・・・
邪気のないこの男は・・・・なぜだか
憎めない・・・
光輝くオーラが周りを癒していく
サトシも例外ではない
故に・・・我は
この者を放っておくことが出来ないでいる(苦笑)
『ワカッタカラ・・・オシエタトオリニヤレバイイ・・・』
「お、おぅ・・・よろしく頼むよ・・・・」
俺は・・・・人生で初めて
チョコレートを手作りしている
貰ったことは山ほど・・・ある
自慢じゃないが・・・・
かなりある
だが・・・・あげたことは
いまだかつて・・・・皆無
ましてや、あげたいと
思った人ができたことが・・・・・
俺の人生のなかで・・・・初めてなわけで
浮かれつつも・・・・
気持ち悪がれないかと
半面心配している俺もいて・・・・
まぁ・・・・智くんはそう思っていても
顔には出ないだろうし・・・
わからなければ強行突破するのみ
いいんだ・・・・
意志表示できるだけでいい・・・・(笑)
・・・・・・・なんだ?
甘い香りがする
二人で・・・・楽しそうに
何を作っているんだ
しかも・・・・翔くん百面相だし(笑)
俺は・・・・いつまで
立ち入り禁止?
そろそろ仲間に入れてほしのだが
どうしたものか・・・・・
二人の聞き取れない会話と
大小の台所からの音が止むと
ヘロヘロになったエプロンをほどきながら
リビングに揃って戻ってきた
翔くんと・・・式の潤
あちらこちらに茶色のシミをつけて
ソワソワと俺の前で行ったり来たり
「翔くん?・・・・・」
「・・・・・あのさ、コーヒーの・・・お、おかわりどう?」
「えっ?・・・・あぁ、じゃぁ、いただこうかなぁ」
そう言うと手早く戻って
コーヒーをいそいそと運んできた
カップの縁に何か置いてある
「あっ、・・・・・」
思わず翔くんの顔を見る
もう一度・・・・テーブルを見る
翔くん・・・・
これ作っていたのか・・・・・
ホワンと・・・・
身体が温かくなっていく
ゆっくり顔を上げて
翔くんを見ると・・・・
チョコレート・・・・渡すときの
顔じゃ・・・・無いだろう・・それ・・・(笑)
少しだけ・・・・
意地の悪いことを聞く・・・・
「翔くん・・・・・これって、なにチョコ?」
「えっと・・・、ん?・・・なにチョコ???」
真剣に考え始めた翔くん・・・・
ちょっとの間もいろんな顔をする(笑)
きっと・・・・義理チョコって
答えるんだろうな・・・
いいよ・・・それでも
・・・・・嬉しいから
一生懸命が・・・・嬉しいからさ、
チョコを眺めてコーヒーを飲む
「・・・その・・まんまだけど(照)
・・・好きな人に・・・あげるって・・・やつっっっっ!!!」
ブホッッッッッ!!!
予想外の答えに驚いた、
「翔くん・・・・・???」
「はい?・・・・・」
「それ・・・・って・・・・・」
「・・・・・はい、そうです・・・」
「・・・・・・まじで?」
「・・・・・・・残念ながら・・・・マジです」
・・・・なんだ残念ながらって、
そうじゃないだろう・・・・・
俺・・・今どんな顔しているんだろう
おかしくないかな?
にやけていないかな?
ちゃんと鈍感の翔くんに伝わる
顔になっているかな・・・・・・
「・・・・・嬉しいよ、」
「へっ??」
智くん・・・・今、うれしいっていた????
聞き間違いじゃ無い???
「・・・・翔くん・・・・聞いてる?」
智くん・・・・・
嫌がっていない・・・よね?
しかも・・・・うれしいって・・・・・
それって・・・・・
それって・・・・・
「・・・・・ん~~~わからないか・・・じゃぁ、」
そう言うと智くんが椅子からすくッと立ちあがる
トコトコと俺の目の前くると
渡したチョコレートを一口放り込んで
にこりと微笑む・・・・
あぁ・・・・可愛い
やっぱり、最高だよ智くんの笑顔・・・・・
フワァ~・・・・・・
間近に漂うカカオの馨り
と、
甘い・・・・チョコの味
味?・・・・・・
気づけば・・・・・智くんが
俺に・・・・・
くっついてる?????
唇が・・・・・・
くっついてる!!!!!!
「・・・・・・翔くん、ご馳走様・・・美味しいよ」
パクパクしている俺の顔をしり目に
ゆっくり離れていく・・・・智くん
俺・・・・・現実逃避しそう・・だよ
夢じゃないって・・・・
思いたい・・・・
「智くん・・・・夢じゃないの?」
「・・・・えっ?、ふふっ・・・夢じゃないよ」
「・・・・・じゃぁ・・・おかわりできるの?」
チラリとチョコレートみると
「・・・・あと、4回はできそうだけど?」
クスクス笑い
また俺の傍に舞い降りる・・・・
甘い・・・・チョコの味が
クセになりそうな・・・・・・
俺の人生で最高のvalentineになった

