男相手に気障な台詞を平気で言える

イケメンは・・・


熱い眼差しを向けてくる・・・・




初めて会ったというのに

警戒心を一掃するようなその微笑みに

ざわつきだす心・・・・


「・・・今宵の月はまた・・一段と蒼く輝いている」


そう呟くイケメン・・・

柔らかな笑みで何かを言っているが聞き取れない


落とした煙草を拾いあげ火をもみ消す



・・・・・俺が時々ここで空を見上げているのを


見ていたのか・・・・


今日声をかけてきたのは・・・偶然か?



「なんで・・・俺なんかに声をかけたんだ?」



ゆっくりと振り向き低く甘い声で応えるイケメン・・・


「あなたに・・・目を奪われたと、そう伝えたのが全てですが、それだけでは

不満ですか?・・・理由になっていないと?」





「・・・・・いや、だって・・・俺は男だし」




「あなたは・・・あなたは私を見てどう思いましたか?」



「・・・・どうって、・・・」



「気味が悪いならとっくにこの場所から立ち去っていませんか?」



「・・・・・・・。」



「同じですよ・・・あなたと、多分・・・違いますか?」




そう言い終わらないうちに


そっと伸ばされた指先が俺の顎を掬う・・・


近づく影に


近づく香りに


近づく熱に


動けないでいた



フワリと掠める様に触れる感触に

ジンと身体の奥から湧き起る感覚に戸惑う



「・・・・ふふっ、逃げないのですね・・・では」



再び近づく赤き唇を

俺は受け入れていた


柔らかく温かい感触が俺を侵食し始める・・・・




これは・・・夢?

まぼろし?




あの時見た夢の光景を思い出していた

俺が待ち焦がれた相手って・・・・


このイケメン?



深く熱くなっていく口づけを受けながら


夢で見た自分を思い返す






気が遠のくほどの口づけをしたことがあっただろうか?

俺は・・・初めて会ったこのイケメンを欲しがっている

肩を引き寄せられた瞬間、我に帰る


名残惜しむように離す唇から漏れる吐息



「・・・・どうしました?」


潤む瞳で俺を見つめるイケメン・・・・



「なぁ・・・この先は、俺からでも・・・いいか?」


一瞬戸惑うイケメン・・・


だが・・・満面の笑みで答える



「あなたが手に入れられるのなら・・・どちらでも、いい」


と・・・・・・







重なる影に酔いしれる


甘美な音色は天高く蒼い月に吸い込まれ


昂ぶる心は本能のままに

お互いを求め続ける

幾度も欲を吐きだし

そのたびに深く繋がる印・・・・

揺れ動く影に煽られ・・・・

乱れ咲く・・・・




夢千一夜


今、時を越え繋がる想いに身を委ねる









夢を見た




蒼い蒼い水面に漂い



恋しい人を待ち続ける夢



心乱れるほどの・・・・熱情



今この手に・・・・