二宮さんから連絡があり、小さな写真館に連れてこられた
こじんまりとした・・・でもなんだか暖かい感じのカフェっぽい作りで
嫌いじゃない・・・
大きな鏡のある部屋に通されて
しばらくそこで待っていると
ドアの外のから聞こえてきた二宮さんと誰かの言い合う声
「??・・・・・」
少しだけ怒り口調の二宮さん・・・
珍しい感情を露わにするなんて・・・
勢いよくドアが開く
すらっと背の高い男の人が二宮さんの後ろに立っていた
一瞬目が合ったけど、すぐに反らされて・・・
その後は・・・二宮さんの背中をじっと見つめながら
今にも泣き出しそうな哀しい目をしていた
「ゴメン、ゴメン待たせちゃって!じゃぁ、早速着替えよっか?」
「えっ?着替えるんですか?」
差し出されたものは・・・どう見ても
女性もので・・・
二宮さんとその服を何度も見返してみたけど・・・
ニコニコしているだけ
渋々受け取ると矢継ぎ早に次々と傍にいる男の人に
指示を出す・・・・
言われるがままそんな二宮さんを見ているとその男の人が
小声でそっと聞いてきた
「・・・ニノと知り合いなの?」
知り合い・・・なのかな?
この場合翔ちゃんとのことなんて言えばいいんだろう?
・・・お付き合いしてる人の友人で?
・・・僕の恋人の友人で?
・・・僕の大切な人の友人?
あれ?・・・なんて言ったらいいんだろう?
いろんな事考えていたら・・・
「あの・・・大切な人です」
って・・・意味のわからないこと言っちゃってた
髪を触る手が一瞬止まる
「・・・・そう・・・なんだ、」
それっきり、その人は黙って僕を仕上げていく
二宮さんは、僕等を反対側から眺めているだけ・・・
・・・・・違う・・か?
この人を見ているのか?
いつもと顔が違うもん、もしかしたら
この人が?二宮さんの?
「・・・・はい、出来上がり。綺麗だよ・・・とても」
優しいトーンで話かけてきたその人を見上げると
柔らかい顔でニコリと微笑んでくれた
そのまま部屋を出ていくその人に思わず声をかけていた
「あっ、ありがとうございます、」
って・・・・これ誰だ?!!!
鏡に映る自分の姿に目がチカチカする
「大野君・・・化けるね、どこから見ても女の子だ(笑)」
そう言って楽しそうに笑っている二宮さん・・・・
へんそう って女装?
なんだか嫌な予感がする・・・・
まさか、このままずっとじゃないよね?
「に、二宮さんこれって・・どうして女装?」
あわてる僕をよそに
「・・・・簡単だよ、気づかれたらつまらないじゃない、
願わくばそれで翔さんを誘惑して欲しいくらいだよ、」
「誘惑って!!・・・何言ってるんです、すぐにばれちゃいますよ」
さすがに気づかないわけはないって思うけど・・・
少しだけ不安が残るのも事実で
女の人に翔ちゃんがどんな風に話しかけるのか
どんな風に触れるのか・・・・
僕より・・・僕の時より自然だったら
余計なことばかり頭に浮かぶ
「大野君、どうかな?賭け、してみない?」
「賭け?」
「そう、もし最後まで気づかれず誘いにも乗らなかったら俺の負け。
揺るがない証拠だからね、」
「・・・揺るがない?」
「だってさ、一応男なんだからさ、女性相手にくらっとするかもしれないだろう?」
「それは・・・女性なら・・・でも僕は男だから、こんなんじゃすぐにわかりませんか?」
・・・・・・そう、この賭けに・・・意味ってあるのかな?
不思議なこと考える人なんだなぁ、二宮さんって・・・
そう言えば、引っ越し祝いに貰ったのも・・・・ゴムだったし(照)
「あのね、大野君、君って自分で思うよりずっと綺麗なんだよ・・・わからない?
普通の男ならイチコロなんだけどね、翔さんは・・・鈍いからいい線行くと思よ?(笑)」
「・・・・もし、僕が負けたら?」
「・・・・そうだね、一晩付き合ってもらおうかな?」
「・・・・嫌です。」
「あはははっ、負けるの前提?翔さんが声かけてきた時点でゲームオーバーだからさ、
頑張って・・・!!」
・・・・・なんだか遊ばれてる?
でも・・・・会えるんだ!
翔ちゃん気づくかな?
気づいて欲しい・・・どんな僕でもわかってほしいもん
はきなれない靴を履いて、翔ちゃんのいるところまで
二宮さんと・・・・出発した
心は正直
会いたがってる・・・すごく
ドキドキしてる(笑)
翔ちゃん・・・・・
翔ちゃんを思うとき僕はいろんな感情経験するんだよ
欲張りな僕はもっと翔ちゃんを知りたいって・・・
その心だけは純粋に・・・・真っ新だから
翔ちゃん・・・・・
はやる・・・心




