夕べから・・・・

散々、甘い時間を一緒に過ごしたのに

今朝になってダダ捏ねる智・・・・

寝ぼけてるのかと思いきや・・・・











その目はかなり真剣に俺を覗き込み

一緒に連れて行けといわんばかりの勢い

珍しいこともあるものだ

普段は聞き分けのいい奴なのに(苦笑)
















今俺は仕事で長野に来ている

二泊三日の短期出張だ

ホントいうと、智も一緒に連れて行きたかったのだが

二宮が同行することになったんで、さすがにそうもいかず

あいつは智も一緒二連れて来いって、しつこく言っていたが

今回は留守番して貰うことにした


二宮に・・俺たちの事を根掘り葉掘り聞かれてもなんだし・・・

智は免疫無いからな、二宮のえげつなさに・・・

警戒心ゼロだから、聞かれたことは全て話しそうだ(苦笑)














「・・・・翔さん、その顔やめてくださいよ」


「ん?顔?なんだ俺の顔なにか変か?」


大きくため息を吐き俺を上目づかいで見下ろす二宮・・・


「えぇ、変ですよ、気味悪いくらい崩壊している」



「崩壊?」


自分の頬をぺたぺたと触って見せる


「だから、連れて来ればよかったんですよ、やせ我慢しないで」



「やせ我慢って・・・智のことか?」



「それ以外ないでしょう、翔さんをそんな顔にさせるの」



・・・・・どうやら俺は智を思い出している最中は


相当崩れた顔つきをしているらしい・・・・




二日か・・・・短いようで長い・・・・かな?

声がもうすでに聞きたくなってきた





「今夜の宴会の、セッティングは私が仕切りますから

明日のプレゼンの資料の最終チェックの方お願いします」


二宮の声で我に帰る俺に

またもや厭味ったらしい顔つきで毒を吐く


「心ここにあらず・・・ですか?随分と余裕ですなぁ・・・

精々、一人の夜を楽しんでくださいな!」



ニヤリと意味深な笑みを浮かべひらひらと手を振り

足早に去って行く二宮・・・・


あいつ・・・何か企んでるのか?



ラウンジに一人残った俺は少し冷めたコーヒーを飲みほし

仕事に取り掛かろうと席を立った

振り向きざま、目の前を通りすぎる女性に

あろうことか俺は釘付けになる・・・・













えっ・・・・智?


の、訳わけないか・・・・



去って行く後姿をしばらく眺めていた俺に


戻ってきた二宮が


「・・・・どうしました?知り合いですか?」


「あっ、いや・・・一瞬似ていたんで、・・・」


「誰にです?」


こいつ・・・・わざと聞いてるな


「・・・・・うるさいよ、誰だっていいだろうが、ほら、行くぞ」


もう一度、女の人の去って行った方向を振り向く



智が・・・・女性だったらあんな感じなのかな?


フワリと微笑む智の顔を思い出し

今の女性に智の面影を重ねていた・・・・




まずいな・・・・



俺今夜、寝付けるかな?



智を思い出し身体の中から湧き起る

甘い疼きを必死に押し込めようと


俺の理性を総動員してその場を離れた・・・・





智・・・・今頃なにしてるかな?



俺は・・・この場に連れてこなかったことを

少しだけ後悔していた



ロビーから見渡す景色

一面に咲き誇る秋桜を智にも見せてやりたかったと・・・



綺麗だぞ・・・・一面ピンクだ



俺はスケッチを楽し気にしている智の姿を想像していた