「うぉ~!!今日も快晴」
見上げた空がめっきり高くなっていて
季節の移り変わりを知らせている
七夕の日から俺の中のちっさなササクレは
ふとした瞬間に頭を持ち上げる
ははっ、情けないことにここから離れることも
進むことも出来ない
宙ぶらりんの俺・・・
智くんはといえば、
全く変わらず・・・いや、益々もって愛おしさ倍増
さらに可愛いく
そして悩ましく
俺の前で微笑む
そして、その顔を見るたび
自分の欲深さに凹むんだ・・・
こうして、同じ時間を過ごせるだけでも
贅沢なことで
俺にしちゃ上出来で・・・
押しかけ女房のように強引に住んじゃったわけで
そう、押しかけて・・・
女房・・・・
あぁ~~~!!!!ちくしょう!!
いっそ、俺が女だったらなぁ~~~~
クシャクシャに頭を掻きむしり吠えている
俺の足元には、相も変わらず口の悪い式が
にやけた顔で俺をみている
「な、なんだよ・・・」
『ショウ・・・ヘタレ』
「わーーーってるよそんなこといわれなくったって」
語尾が自然と小さくなる
見ためよりもうんと、デリケートな
心弱い俺の癖・・・
「うぉっ!!」
突然、俺の目の前に現れた彫の深い智くんの式・・・
これが、えらく美形で、あの白いワンピースの式と
同じなんて信じられん!!
『サトシは普段力を抑えているからね、その加減で
我の姿も変わるのさ・・・』
・・・・智くんの式は他に、いないような口ぶりだが?
俺の足元の、この小生意気な式はいったい誰の式なんだ?
まさか本当に俺ってことはないよな?
胡坐をかき机の足に背中をつけて大きな態度を崩さない
ニヤッと笑う顔が、妙に苛立つ
俺とは一生気が合いそうにないと、改めて宣言しよう・・・・・
おっ!
んふふっ、ほんと、あいつら翔くんが好きなんだね
式が一緒にいる何て珍しい(笑)
式には俺の心が伝わりやすいのか?
微笑ましい光景に思わず
口元が緩む
翔くんと過ごすようになって
俺の中で小さな変化が起きていた
以前まで何も考えずにただ、漠然と描いていた画に
意味があり、それによって出来栄えの違いが
顕著に現れることを
初めて知らされた
翔くんによって・・・
俺の描き上げた画に命を吹き込む役目は
翔くんなんだ・・・
俺はその画の意味を描いてから知る
それも翔くんの言葉によって・・・
翔くんが思うよりずっと
俺はこの時間が大好きで・・・
クルクル表情が変わる翔くんを
見ていると心が温かくなるんだ
短冊の願いがもしも叶う時が来るとしたら
その時は俺の全身全霊をかけて
翔くんを・・・・
ははっ、今日の俺はどうかしている・・・(苦笑)
ベランダから眺める空に
ふわり飛び交うトンボの姿・・・・
「あきあかね・・・かな?」
もうすぐそこに秋の気配
翔くん・・・
俺はいつの間にかこの暮らしに依存していて
翔くんのいる空間に救われている・・・
このまま、この和やかな空間が時間が
続くことを・・・
望んでいる
俺から口にできないもどかしさを
いつまで我慢できるのかな?
普通の人ならすぐにでも
伝えられるのに・・・
言霊は・・・時に
イジワルだ
賑やかな翔くんのいるリビングへ
視線を移せば
式がウインクして見せる
・・・・・いつの間にそんな仕草覚えたのだ?
人間らしくなっていく式がいても・・・
悪くない・・か(笑)
「なんだか、楽しそうだね?俺も混ぜてよ」
真っ赤な顔で振り向く翔くん
思わず綻ぶ顔・・・
今日も一日いい日になりそうだ・・・・

