翔ちゃんのバカ・・・
そう言いたい気持ちで一杯のはずなのに
言葉に出来ない俺は・・・
いつだって
楽しそうに未来を語るその笑顔に酔いしれる
見つめている先が同じものとは限らないのに
ずっと変わらずにいられると思っているんだ
・・・・・どうやら俺は、翔ちゃんが
何時までも側にいる存在であって
決して切り離せない人間なんだって
勝手に思い込んでいるらしい
ずっとそうならいいのに・・・・
翔ちゃんは・・・そうは思っていないのかな?
「翔ちゃんの・・・バカ・・・」
つい出る言葉に更に沈み込む・・・・
コツンッ
不意に頭を小突かれ、うつむいた顔を上げると
窓ガラスに映る姿に思わず声を上げた・・・
「しょう・・・!!」
「ふふっ、なに勝手に俺を悪者にしてるの?」
・・・・・とろけるような甘い声で語りかけてくる
ゆっくりと振り向き翔ちゃんを視界に捕らえる
近づく顔
その瞳に映り込む俺
「・・・・どうせ、またろくでもないこと考えていたんでしょ?」
鼻先が触れるくらいの距離で甘い吐息が降り注ぐ・・・
「そうでも・・・ないよ、」
「そう?ならよかった・・・」
甘い吐息は
そのまま俺の唇を絡め取り
一瞬にしてそれまでのモヤモヤを一掃する
見据えた瞳に映る自分の姿を確認すると
ゆっくりと瞼を閉じる
翔ちゃんの熱が溶け込んでくるのを
ただ感じていたかった
・・・・・翔ちゃんの・・・バカ
やっぱりそう思わずにはいられない
こんなにも心乱される人なんて
翔ちゃん以外にいないんだから
言葉にできない俺は・・・
翔ちゃんが驚くほど
求め始める
一旦離れた身体に絡みつく腕
お互いを見つめる視線が絡まり
熱を持つ
翔ちゃんの目つきが変わる瞬間を待つ
「・・・・ずるい人」
そう囁き俺を抱き竦める翔ちゃん・・・・
ずるい?・・・・
そうなのかな?
甘ったるいキスを繰り返し
のめり込む俺に再度囁く・・・
その低く掠れた甘い声で・・・・
・・・・・意地っ張り
って
・・・・そう、そうかもね
素直になれない俺
だけどね・・・・・
いつだって心と身体は
翔ちゃんでいっぱいにして欲しいって
思ってる・・・
それを伝える言葉が言えない・・・
ううん・・・・言わない
言わないよ・・・
翔ちゃん・・・・
ダイスキ・・・・・なんて
※婦人画報より


