ショウ、

ショウ、


「ショウ・・・・・」



俺に向けてのばされたその手を取る


君で満たして・・・・・欲しくて








翔くん・・・・俺は


やっぱり君を・・・・手放すことができない



そして・・・君の未来を約束することすらできない俺を

それでもいいと・・・・

言ってくれるのだろうか





「翔・・くん・・・・・」



「・・・・智・・くん」









君の手が熱を持つ


温かく・・・しっとりとして


俺の指を包みこむ


その手を引きよせ


君の甲に接吻をする






まだ虚ろな君にもたれかかり


抑えきれない想いを


唇に伝える・・・・・








力強く引き寄せられ君を仰ぎ見る


スローモーションのように

君の顔が近づく・・・・・





欲しい

欲しい・・・・

貪欲に君を求めてしまう


解き放ったばかりの己の欲はすでに

形を変えて

君を待つ・・・・・













ずしりとのしかかる君の重みが

俺の不安を軽くしていく・・・




身体に走るこの感覚は・・・・

君以外には感じなかった

誰一人として・・・・感じなかったんだ





「ショウ・・・・」





自分でも驚くほどに甘い声で

強請りだす




「ショウ・・・・」




きつく抱きしめられれば

この日をどれだけ待ち望んでいたのか

思い知らされる








長かった・・・・

こうして君に触れられるまで

どれだけの時間を無駄にしてきたことか


・・・・・それだけの時間が必要だったのか?




君を求めている今でさえ

それが正しい選択なのかと

正直迷っている






君の想いが流れ込む

行き場を失いかけていた俺の想いは




・・・・・もう、止められない



最後・・・最後にしようと

閉じかけた想いは・・・・・

激流のように君へ・・・・・






翔くん・・・・


もう、抑えられないよ?



もう一度・・・・・


君をこの手にしてもいいのかな?










熱い塊が身体を突き刺す

痛みより強い感動が身体を駆け巡る





「あぁ・・・・ショウ・・・・・」





もっと、もっと

感じさせてくれ・・・・

もっと、もっと

叫ばせてくれ・・・・



君の名前を俺に呼ばせてくれ






「翔!!!!!!!!!!!!!!っ」






揺れる身体が


飛び散る汗が


青臭い香りが


俺を酔わせていく・・・・・




あの日に帰って行く

君だけを感じていた

あの日に




だけど・・・

一人じゃないんだな

あの頃は君を抱いていたって

どこか寂しく感じていた




肌を重ねても自分一人なんだって






あぁ・・・こんなにも

君は俺を求めて居てくれたのに

それを俺は・・・・・






「ショウ・・・・・」






余裕のない顔が俺を安心させる





隙間のないほど絡みつく身体が

心地いい・・・・・





欲しくて

欲しくて



幾度君を夢で抱いたことだろう


求めて

求めて



幾度夢で君に抱かれたことだろう





もう・・・夢じゃ無くなるのかな?






「翔・・・・、翔っ」





名前を呼ぶたび力強く抱きしめてくれる

その腕にいつまでも縋りつく




伴に刻む律動が

胸焦がす・・・・・

こみ上げる感情が

頬を伝う・・・・・







ポタッ・・・・






汗とは別のものが君からも落ちてきた


俺と同じ・・・・


雫となって





俺の名前を呼び続ける君・・・・

君の名を叫び続ける俺・・・・・





今2人は・・・・一つとなる

身も心もすべて溶け合い


一つになる・・・・・





1034号室




扉を開けた瞬間から


約束の時が動き出す




promise・・・・・





君と俺との不確かな


約束は・・・・・



今、確かなものへと形を変え始める






部屋を後にするときは

君とともに・・・・・・・




「翔・・・・・」








・・・・・・愛してる





fin