ただ・・・・抱き締め合うだけの時間が過ぎていく
何を思い何を求めているのか
そんな事は、最早どうでもいい
目の前の智くんが全て
抱きしめていた腕の力を緩め
智くんの顔を覗き込む
綺麗な瞳は涙で潤み揺れ動いている
俺の名前を形どったその唇は
堅く閉じられ
まるで・・・・内からあふれ出る激情を
抑え込むかのようにさえ思えた
ゆっくりとその距離を縮めていく
十年前の約束を・・・・・
いま、果たそうと
智くん・・・・・
俺を映しだしたその瞳を
あなたがゆっくりと閉じる
堅く閉じられた唇が・・・・
少しずつ緩んでいく
引き寄せられるようにその唇に
俺の想いをそっと重ねた
身体の奥底からこみ上げてくる
甘い疼き・・・・・
欲しくて求め続けて
手を伸ばしては届かない想いを
押し込めてきた
智くん・・・
きっとあなたのことだから
このままいなくなる気だったんでしょう?
でもね・・・俺は心を決めたから
十年前の俺はもういないよ・・・
あの時、追いすがらなかったことを後悔したから
今度は、あなたが何といおうと離さない
絶対に・・・・二度と
俺にはあなたが必要だと
全身全霊をかけて
伝えるよ・・・・俺の全部を
智くん・・・・あなたに
触れて重ねた唇をした先でなぞる
その度迎え入れようと開く口元から
あなたの柔らかな舌が覗く
赤く艶やかなその舌が
俺を誘う・・・・
押し付けるようにその唇を塞ぐと
あなたが先に俺の中へ入り込んでくる
ずっとその時を待ちかねていたように
激しさをあえて抑えるようにじっくりと
俺を探しまわる
二人の行きかう
湿った音色と
くぐもった甘く熱い吐息が部屋中に響き渡る
「んん・・・・・・んはぁ・・・・ぁんん」
智くんの顔を両手で包みこむようにして
その柔らかな感触を味わう
首筋に指を這わせ鎖骨に沿いシャツを肩から外す
はらりとシャツが落ちはだけた肩口が露わになる
そのまま胸元に指を這わせ
身体の線に沿い智くんに触れると
ピクリと身体が跳ねあがる
あぁ・・・・あなたの身体
俺の知っている
あなたがいた・・・・
唇を離そうと頭を反らせば
巻き付く腕に引き戻される
あなたの全身を舐めつくしたくて
一旦絡めた舌を離そうとするも
あなたはそれを許してくれない
溢れた唾 液が顎を通り首すぎに伝い落ちる
幾度も角度を変えその度に深くなる口づけは
あなたの・・・・思いの強さを教えてくれる
ねぇ・・・智くん
こんなに俺を求めてくれるのに
それでもなかったことにできるの?
ココロヲヒライテ・・・・
オレダケヲカンジテ・・・・・・




