手のひらからこぼれる雫

いくら掬っても何一つ残らない

まるでその存在すら無かったかのように

あなたの瞳には決して映らない俺の想い・・・・









笑わなくなった理由はひとつだけ

翔さんがあなたに言った一言




たったそれだけでこの人を

こんなにも支配していることに

言いようのないウネリが湧き起る




翔さん・・・あなたが手放すのなら

この人は俺がもらう

そして二度と離すことは無い



あなたが自分の過ちに気づいたとしても

この人がそれを許し再び受け入れようとしても

ワタサナイ・・・・・

あなたには絶対に

渡すものか・・・・





「潤・・・・?どうした?」


「ん?ううん・・・どうもしない」


「・・・・・・嘘はつくなよ、お前すぐわかるから(微笑)」



この少し掠れた包みこまれるような


声が・・・・・俺は好きで


多くを語らないこの人の俺を呼ぶときの声が好きで・・・


聞き入ってしまうんだ・・・・



・・・・・潤




「ホント何でもないよ、それより飯いかない?」



「・・・・・・・・さっき食ったばかりだろう?まだ食うの?」




少し甲高い声に変わりクスクスと笑いだす


その顔も・・・・俺は好きで



この人のそばにずっといたいと


思いは募るばかり・・・・・



はじまりは終わりへの入り口


分かっていても・・・・・


あなたを目の前にすれば


動き始めてしまうだろう


決して・・・・


成就しない俺の想いは


一時の幸福感だけを求めている


その瞬間だけが紛れもない事実だから





大野さん・・・・・



俺・・・・始めるよ


あなたが笑うまでずっと

傍にいる・・・・・



はじまりの終わりに向けて


あなたと進もう・・・・・


いずれ訪れるその時まで


一緒にいた時間だけが


この想いの全てが俺だから




「・・・・潤?さっきからなに考えてるの?」



「あぁ・・・何も考えてないよ・・・・」




「潤?・・・・・」





「大野さん・・・・・・俺・・・・・・・」






手のひらからこぼれる雫

いくら掬っても何一つ残らない

まるでその存在すら無かったかのように

あなたの瞳には決して映らない俺の想い・・・・





はじまりの終わりへ


動き出す・・・・・・・・







「俺・・・・大野さんが・・・・・いや、何でもない」



「・・・・・おかしな潤(笑)」


その一言が言えないまま・・・・・