今日も、事務所の手伝いに託けて
智くんのところに入り浸る(笑)・・・・・
この間の件で依頼主に貰ったと
金魚を飼うことにしたらしい・・・・
・・・・・・猫が魚を魅入るみたい(苦笑)
あどけない顔つきで飽きもせず
金魚とにらめっこか・・・・
俺がここに来るようになってからと言うもの
不思議なことばかり起きる
智くんは
「翔くんが呼ぶんだよ(笑)」
って、呑気に構えてるけど・・・・
俺としてはいささか心配ではある
ついこの間智くんが書いていた「碧の竜」・・・
もう少しで出来上がるようだが
今度来る客は・・・・
なんだか非常に有難迷惑人のような感じがしてしょうがない
俺にも“予知”みたいな能力があるのかもしれない(笑)
「ねぇ、翔くんこの子に名前つけてくれない?」
またこの人はこうして突拍子もないことを言うんだ・・・
「俺がつけていいの?」
「うん!翔くんにつけてもらいたい!!」
・・・・・そんな顔で笑って
無自覚なんだから相変わらず(苦笑)
「んん~~、じゃぁ、智くんの金魚だから、サトキン ってどう?」
見る間に花が咲いたような晴れ晴れしい顔つきに変わる
どうやら、その名前が気にいったようだ
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「お前は、今日からサトキンだよ!」
そう言うと唇をつきだしながらサトキンに餌をあげだす
パラパラと落ちる餌よりも
智くんの指先が綺麗で・・・・思わず魅入ってしまった
俺が一緒に同居することを拒まなかった智くん
俺にとっちゃ一世一代の大風呂敷を広げたつもりで
同居に当たりいろんな理由を考えていたわけで・・・
それが・・・・いとも簡単に受け入れてくれちゃったもんだから
なんだか、肩透かしというか・・・・
純粋に同居を喜ぶ智くんを見ると・・・
俺の心はなんて汚れているんだと・・・・・
改めて思ってしまう
智くんの近くにいたいってずっと思い続けていたから
俺はその願いが叶ってめちゃくちゃ幸せなんだが
時折覗くいけない感情が俺の心をざわつかせる
触れてみたい・・・・
そんな、男ならあたりまえの
よ、邪な感情が頭をもたげてくる
今はまだ・・・・その時じゃないかな・?
智くんが俺を嫌いではないことだけは確かな事実だから
ゆっくり距離を近づけていければ
いいんだ・・・ゆっくり
・・・・・・・って、無理かも(泣)
この人どうしたって色気が漏れだすから
しかも無意識と来てるから・・・・
結構俺、アピールしてるつもりなんだけどなぁ~
そっちに関しては全く考えていないんだろうな、きっと・・・
まぁ、俺も自分の事自覚したの最近だし
あり得ないって否定しても
思い描くのは智君ばかりで早急に認めざるおえなかったわけで・・・
俺と同じ気持ちに気づくまでは・・・
気づいてもらえるまでは
そもそも同じ気持ちかなんて期待していいのか?
いや、そう願う!!
万が一違う人を選ぶようなことがあったときには
その時は潔く出ていくからさ
だからさ、それまでは傍で見守らせてよ・・・・
それまでは・・・
それくらいはいいよね・・・・
智くん・・・・・
・・・・・あぁ~!!、くそっ、俺もサトキンになりて~!!
構ってもらいって~!!!
智くんの向かい側に座ってニコニコと楽しそうな顔を
サトキンを見る振りをしながら
いつまでも眺めていた
いつまでも・・・・・
『ショウ・・・・ヘ・タ・レ!』
えっ?!!!
俺の後ろで誰かがそう言っている気がして
慌てて振り向くが・・・・
何もない・・・・・
誰もいるわけがなく
??気のせい
向かい側でクスクスと智くんが笑う
「・・・サトキン、翔くんって ヘタレなんだって!
ふふっ、クッふはぁははは・・・」
呆けている俺をみながら笑い続けている智くん・・・
智くんが楽しいなら俺はもう、なんでもいいよ
うん、この際何でも受け入れる
お化けも妖怪も何でもあれ!!!
サトキンがぴちゃんと跳ね上がり
綺麗な雫が俺たちの上に舞い散った





