会いたい・・・

それだけでここまで来てみたが

考え出せば一層深まる不安が

心を覆い尽くしていく


それでもあきらめの悪い俺は

ふと視線をあの店に送る


!!!。



「智・・・・」








いた、本当にいた。

間違いない



智がそこにいる・・・




向かいの店の前で
数人と話し込む姿が俺の目に飛び込んで来る

懐かしい顔


髪を・・・短かくしたんだな





笑っている

楽しげに・・・笑っている



・・・・・俺は
何をしようというのだ
あの笑顔を追いかけることもしないで
手を放してしまった俺を

あいつが受け入れることなんて

あるわけないんだ・・・・・




冷静になり
考えれば考えるほど
この場にいる意味を
見いだせなくなっていた


帰ろう・・・・


元気そうで

よかった・・・・

智は笑顔が・・・いちばん似合う



ふらふらと立ち上がり
会計をする




空っぽの心がまた戻ってくる
何もかもなくなった時の
空っぽの心が


渡された釣銭が

力のない手のひらから零れ落ちる


転がった先に手を伸ばせば





聞き覚えのある声がした


「・・・・翔・・ちゃん?」