あなたと二人の時間が欲しくて
無理を言ってこのホテルに
来てもらった・・・
僕の大好きなこのホテルで
あなたと語りたかった・・・












パチパチと暖炉から時折聞こえる
薪の音をBGMに



僕の夢が今現実になる



あなたがワインを片手に

暖炉の前にたたずむ

その横で幻想的な光の中の
あなたを眺める僕がいる・・・・


「なんだか・・・照れるね」

そう言うと
はにかんだ顔を朱色に染め
ワインをコクリと飲むあなた・・・


「うん・・・・」

どこか上の空の
我が心は・・・・目の前の愛おしい人から
視線を外すことが出来ないでいる


「そんなに・・・見ないでよ」

チラッとこちらを見ては
すぐに反らせてしまう
綺麗な濁りの無い瞳を
もう少し見つめていたくて

下側からあなたを覗き込むと

「ホゥ~~~」と

深い息を吐きながらあなたが

僕の手に自分の手を添えた


・・・・・冷たい




「んふふっ、冷たいでしょ?結構・・・・緊張しているから」


添えられた手は僕の指先を握る

ドキリと鼓動が跳ねた・・・

僕の手は、指先は熱を持つ

あなたとは正反対・・・

身体中が沸騰しそうなくらい
熱を持っている

冷たいあなたの指先が今の僕には丁度いい(笑)

そのままあなたの指先を包み込む

一瞬ピクリと肩を震わすあなた


僕を見つめてにこりと微笑むと

小首を傾げ 『その次は?』 

とでも、聞いているような仕草をする・・・・



参ったな・・・


僕はワインをそっと脇に置き
あなたを正面から見据えると

あなたの顔から笑みが消えた

少し忙しなく揺れ始めた瞳は
どこを見ているのやら・・・・


あなたの背中にそっと腕を伸ばし
もう一方であなたのワインを取り上げる





背中に伸ばした腕を下から優しく撫で上げ
あなたの項に添えると

目の前のあなたが少しだけ角度を変えた・・・

僕は・・・今あなたに触れる

ずっと欲しかったあなたに

触れる・・・・


静かに重なり合う熱の結晶は
温かくそして・・・柔らかい

あなたの冷たい指先が
僕の頬を包み込む

閉じられた瞼に長い睫毛の影ができる

綺麗だ・・・・

確かめ合うように
離れては触れ
啄み重なる唇は
しっとりと潤いだす

お互いを探し始めた
舌先がどちらともなく入り込み
出会い求め合う

強く抱きしめる腕に、指に力が入り
我を忘れるほど・・・・
夢中になる・・・あなたに



あなたからの甘い唾液を飲みほし
それでも溢れ口の端から伝い落ちる雫は
首筋を辿り服の色を変えていく

細くしなやかに指先が僕の頬から
首筋を通りシャツのボタンを外していく

あなたからの意外な行為が僕を昂ぶらせる

抑えていたはずの理性は
最初から存在していないかのように
簡単にはじけ飛ぶ



ゆらゆらと暖炉から燃え上がる
静かな焔のように
僕を煽り焦らすあなた

片時も離れまいと絡めとられた
舌先にさらに熱がこもる
あなたの・・・
想いが流れ込んでくる


いつしか静かな息遣いに交じり
甘い吐息が耳に届く
あなたに触れ続ける唇は
はだけた胸元に印をおとしていく

その度に漏れる音色に
痺れ疼く・・・・

敷き詰められた肌触りの良い絨毯に
あなたを縫いつける

焔が暗闇に二人を浮かび上がらせては
揺らめき再び闇に隠す





チロチロと燃え上がる焔の向こう側で
睦、繋がり、一つになった影が
浮かび上がっては消えていく

幾度となく繰り広げられる
その情景は・・・やがて最後の時を迎える

名前を呼び合い
お互いの熱を確かめ合い
歓喜の声に震え
激しく揺れ動く

そして二色の悦びの音色とともに
静寂が訪れる・・・・



パチパチと暖炉の薪が音をたてる
静かに燃え上がる焔は
二人を優しく包み込む


決して消えることの無い
焔は二人の中に燃え続ける

永遠に・・・