
その日・・・俺は異変を感じた
智くん?・・・何があったの?
今までも俺に本心なんてさらけ出したことなど
無かった、けれど・・・
こうもあからさまに目の当たりにすれば
自ずと・・・そう言うことかと
思わずにいられない
俺は・・・言ったはず
心まで欲しいとは思わないから
せめて智くんとの繋がりが欲しいと・・・
俺はそのつもりで今まで智くんを
・・・・・大切にしてきたつもりだった
邪魔な気持ちを悟られないように
身体だけなら離れるときも傷つかない
そう思っていたのに
平然と俺の前で笑う智くんが
分からなくなっていた
何かが違ってしまった?
俺の想いは・・・届かない?
智くん・・・どうして
そんな疑問符ばかりが
今朝から俺の中を駆けずり回る
仕事なんて・・・出来るわけない
こんな気持ちで
智くんの隣になんて
立てるはずがないんだ

俺を受け入れてくれたのは嘘だったの?
智くんから漏れ出る声は
嘘だったの?
俺に感じて昂ぶり果てたのは
全て嘘だったの?
いまも目の前で微笑む智くんの顔から
思わず目を背けてしまった・・・・
「翔くん!!おはよう、何ふてくされての?
イケメン台無しじゃん!」
俺の背中を思い切りたたきながら
小走りに衣装室へ駈け込んでいく
その後姿から目が離せないでいた
俺の戸惑う心を
弄ぶかのように
ニノに・・・
松潤に・・・
その身体を摺り寄せる・・・
(よせ・・・やめろ・・・やめてくれ!!!)
噛みしめた唇から滲む赤い色
舌先で舐めると
苦い・・鉄の味がした