「んっ・・・あぁっ」

抑えることのできない熱が声となって
君に届いてしまう・・・
気づかれないように閉じ込めてきた
歪んだ感情は君の予想外の行動で
簡単に破られてしまった
予想外?・・・
いや・・・予感はあった
だから一人になりたかった
誰の目も憚らずに君への想いを吐き出すため
誰もいなくなったこの部屋で
君のいた場所に座り残り香を探していたのだから
そんな僕を見られていたのかもしれない
見られてもいいようにしていたのかもしれない
君は僕を抱きしめながら何度も呟いた
・・・なぜ抵抗しない
・・・なぜ受け入れる
・・・あなたがいけない
・・・俺を見て・・・・

抵抗しなかったのは・・・君が後悔しないように
受け入れたのは・・・君が傷つかないように
僕が君を誘った・・・そうすれば君は僕のせいにできる
君を見ることは・・・出来ない

それが僕の精一杯の抵抗
君が特別だと
思わせないように
大勢の中の一人なのだと
思わせるために
僕は君を見ることはなかった



「はぅっ・・っく・・・んんっっ・・・んああぁっ!」

そんな僕の想いに君は気づかなくていい・・・
背中から伝わる君の怒りと焦り
僕の両腕は君に抱きかかえられたまま
身体を合わすことなく前後に揺さぶられる
欲望の一部が繋がっただけの
色を持たない悲しいs e x・・・
君の呻く声と僕が吐き出す喘ぐ声が重なり
不協和音が自我を崩壊していく

「智・・・あぁ~・・・っく・・智っ・・・」

君のそれはもう限界を迎える
僕の中に全て置いていくといい
そして何もなかったのだと
思えばいい・・・
君がこじ開けてしまった扉は
僕が閉じるから・・・
君への想いとともに封印する
だから・・・今だけ
僕に君の全てを・・・・吐き出して

あぁ、僕は今幸せだ・・・顔を見られなくて
よかった・・・
今の僕は最高に笑っているから・・・・

「んああっ・・・もぅ・・・くっ・・・しょ・・・う」

「あぁ・・・さと・・・し・・・・いっ・・」

「 「 ああぁっ 」 」

最後の瞬間頬を伝う泪に驚く・・・・
笑っていたはずなのに
なぜ・・・泣いているのか自分には理解できなかった
荒い息を吐きながら
僕から出ていこうとしない君は・・・
抱きかかえていた腕をゆっくり手放し
ソファーの背に倒れ込む僕の上に覆いかぶさる
肩で息をしている僕の項に鈍い痛みが走る

「ハァ、ハァ、ッなにを・・・」







荒げた息で君が答える


「俺の・・・印・・

俺だけの・・・さと・・し・・くん」









ズキンとした痛みが脈を打つ


項ではなく・・・僕の心に