・・・・・ん
コーヒーの香りがする・・・翔くんもう起きてるんだ
・・・・・翔くん?って
はっ、として目が覚める

視界に飛び込んできたのは
どこか見覚えのある天井で
右側に振り向くと
ベッドサイドに置いてある絵に目がとまる
「これって・・・俺の、だよな・・・・」
それはめったに描かない人物画
確か・・・何年か前の翔ちゃんの誕生日にあげたんだ
手にとろうとベッドから離れようとしたとき
鈍い痛みが走る・・・
下肢に目をやれば・・・下着をつけていないことに気づく
慌てて周囲を見回す・・・
近くに折りたたんで置いてある自分の服
えっ?なんで裸なの?俺・・・
まだ、ぼんやりとしている頭の中を整理してみるが
この現状を把握できない
よく見ると身体の広い範囲についた赤い跡
昨夜、夢で見た光景を思い出す
同じ・・・なんで?
それに翔くんって・・・・?
ここって・・・まさか翔ちゃん家?
いいようのない焦りが全身を駆け巡る
俺・・・まさか翔ちゃんと?
急いで着替えてドアの外に出ると
目に飛び込む景色に・・・息を呑む
ここ・・・知ってる
胸の奥から突き刺すように湧き上がる感情に
身体の震えが止まらない
立ちすくむ俺の耳に
聞こえてくる懐かしい声
その方向に目をやると
笑顔の翔ちゃんがいた
「翔・・・ちゃん?」
「・・・・おはよう、智くん」
さっき見た笑顔はすぐに消えていて
ぎこちなく笑った翔ちゃんが俺を見ていた・・・

「朝ごはん食べる?パン好きでしょ?」
手際よくパンを焼きながら俺を見ないで話す翔ちゃん・・・
そんな翔ちゃんに
「翔ちゃん・・・俺・・・なんでここにいるの?」
思い切って聞いてみる
翔ちゃんの手が一瞬止まる
「・・・・ゴメン、智くん・・・先に帰ったりして、あの後・・・
俺、忘れ物していたらしくて、松潤が智くんを送るついでに
持ってきてくれたんだ・・・
その時、気分悪くなった智くんを車から降ろして家まで連れてきた」
気分悪かった?俺が・・・・
なんだろう・・・この違和感
翔ちゃん・・・嘘ついてる
仕草がそう言ってる
何だか知っているんだ
翔ちゃんの嘘つくときの癖・・・
「・・・座ったら?コーヒーいま入れるから」
「あっ、うん・・・」
座る瞬間に感じる痛み・・・
そのことを聞けないでいる俺
長い沈黙・・・・
顔を上げると
翔ちゃんと目が合う・・・

心配そうに俺を見る大きな瞳
何かを言いたそうに揺れている
俺は・・・あえて聞くことをしなかった
聞きたくなかったのかもしれない
夢の中だと思っていたことは
現実だった・・・・?
どこかそう感じる時があったはず
でも俺は・・・・
身体の赤い跡は
きっと・・・翔ちゃんがつけた
そして・・・俺はそれを拒まなかった

俺の中にいる人が誰なのか
ずっと知りたいと思っていた
その人への感情が何なのかを確かめたいと
思っていた
特別な感情だったのかもしれない
だけど・・・俺は
心の中にいる人を思いながら
翔ちゃんと・・・
その人の代わりに・・・・
俺は翔ちゃんを利用した?
忘れてしまった温もりを求めて
縋ったんだ・・・・
そして翔ちゃんも・・・・
そんな俺を・・・受け入れてくれた
なぜ・・・?

嫌じゃ無かった・・・・
むしろ・・・・そうなりたいと思っていたんだ
別の人を想いながらも
俺は翔ちゃんのことも・・・・
あり得ないはずなのに
期待してしまう
翔ちゃん・・・・俺はきっと
翔ちゃんが・・・・
ドクンッ・・・・
「・・・智くん、どうかした?」
ドクンッドクンッ
「・・・痛・・い、胸が苦しい・・・」
両手で顔を覆う俺に
静かに・・・響く声で語りだした
「違う・・・悪いのは俺なんだ、俺はずっと智くんが・・・」
鼓動が跳ねる
頭の中で声がする
誰かが俺を呼ぶ声が・・・・
俺は意識を飛ばす・・・・
コーヒーの香りがする・・・翔くんもう起きてるんだ
・・・・・翔くん?って
はっ、として目が覚める

視界に飛び込んできたのは
どこか見覚えのある天井で
右側に振り向くと
ベッドサイドに置いてある絵に目がとまる
「これって・・・俺の、だよな・・・・」
それはめったに描かない人物画
確か・・・何年か前の翔ちゃんの誕生日にあげたんだ
手にとろうとベッドから離れようとしたとき
鈍い痛みが走る・・・
下肢に目をやれば・・・下着をつけていないことに気づく
慌てて周囲を見回す・・・
近くに折りたたんで置いてある自分の服
えっ?なんで裸なの?俺・・・
まだ、ぼんやりとしている頭の中を整理してみるが
この現状を把握できない
よく見ると身体の広い範囲についた赤い跡
昨夜、夢で見た光景を思い出す
同じ・・・なんで?
それに翔くんって・・・・?
ここって・・・まさか翔ちゃん家?
いいようのない焦りが全身を駆け巡る
俺・・・まさか翔ちゃんと?
急いで着替えてドアの外に出ると
目に飛び込む景色に・・・息を呑む
ここ・・・知ってる
胸の奥から突き刺すように湧き上がる感情に
身体の震えが止まらない
立ちすくむ俺の耳に
聞こえてくる懐かしい声
その方向に目をやると
笑顔の翔ちゃんがいた
「翔・・・ちゃん?」
「・・・・おはよう、智くん」
さっき見た笑顔はすぐに消えていて
ぎこちなく笑った翔ちゃんが俺を見ていた・・・

「朝ごはん食べる?パン好きでしょ?」
手際よくパンを焼きながら俺を見ないで話す翔ちゃん・・・
そんな翔ちゃんに
「翔ちゃん・・・俺・・・なんでここにいるの?」
思い切って聞いてみる
翔ちゃんの手が一瞬止まる
「・・・・ゴメン、智くん・・・先に帰ったりして、あの後・・・
俺、忘れ物していたらしくて、松潤が智くんを送るついでに
持ってきてくれたんだ・・・
その時、気分悪くなった智くんを車から降ろして家まで連れてきた」
気分悪かった?俺が・・・・
なんだろう・・・この違和感
翔ちゃん・・・嘘ついてる
仕草がそう言ってる
何だか知っているんだ
翔ちゃんの嘘つくときの癖・・・
「・・・座ったら?コーヒーいま入れるから」
「あっ、うん・・・」
座る瞬間に感じる痛み・・・
そのことを聞けないでいる俺
長い沈黙・・・・
顔を上げると
翔ちゃんと目が合う・・・

心配そうに俺を見る大きな瞳
何かを言いたそうに揺れている
俺は・・・あえて聞くことをしなかった
聞きたくなかったのかもしれない
夢の中だと思っていたことは
現実だった・・・・?
どこかそう感じる時があったはず
でも俺は・・・・
身体の赤い跡は
きっと・・・翔ちゃんがつけた
そして・・・俺はそれを拒まなかった

俺の中にいる人が誰なのか
ずっと知りたいと思っていた
その人への感情が何なのかを確かめたいと
思っていた
特別な感情だったのかもしれない
だけど・・・俺は
心の中にいる人を思いながら
翔ちゃんと・・・
その人の代わりに・・・・
俺は翔ちゃんを利用した?
忘れてしまった温もりを求めて
縋ったんだ・・・・
そして翔ちゃんも・・・・
そんな俺を・・・受け入れてくれた
なぜ・・・?

嫌じゃ無かった・・・・
むしろ・・・・そうなりたいと思っていたんだ
別の人を想いながらも
俺は翔ちゃんのことも・・・・
あり得ないはずなのに
期待してしまう
翔ちゃん・・・・俺はきっと
翔ちゃんが・・・・
ドクンッ・・・・
「・・・智くん、どうかした?」
ドクンッドクンッ
「・・・痛・・い、胸が苦しい・・・」
両手で顔を覆う俺に
静かに・・・響く声で語りだした
「違う・・・悪いのは俺なんだ、俺はずっと智くんが・・・」
鼓動が跳ねる
頭の中で声がする
誰かが俺を呼ぶ声が・・・・
俺は意識を飛ばす・・・・
