今日から、大野さんが復帰する

最初は体に負担のかからないスケジュールのため

スチール撮影から始めることになった

翔さんとは・・・あれから初顔合わせになる




どうなるのだろう・・・・


そんな事をかんがえながら

いつもより早く楽屋に入る


当然誰も来ていないと思ったら

寝起きの悪い潤くんが珍しく一番乗り



「潤くん・・・早いじゃん」



「あぁ、眠れなかった・・・・ニノは?」





「ん? ははっ、同じ、俺も」


簡単な挨拶でいつもの定位置につく




順番だとこの後は翔さん・・・大野さん


相葉さんの順に来るはず


会話もなく静かな時間が過ぎていく



潤くんのページをめくる音と

俺のゲームの電子音だけが聞こえる



いつもと違った一日の始まりだ



「ぉはょ~すっ」


翔さんが来た




「おはよう、早いねいつもより」


潤くんが話かけると


「そうでもないだろ?」


と、無理やり取ってつけたような

力の無い笑顔で返事する翔さん・・・・

いつもの窓際に座り新聞を開く


・・・・きっと寝ていないのだろう

疲れ切った顔をしている

ただでさえこんなに長い間大野さんと

離れていたことなんてなかったはず

しかも、一緒に住むようになってからは

あの時以来・・・だが、今回ばかりは事情が違う


二人の笑顔がなくなって

俺等の雰囲気もがらりと変わった

余計な気を遣わせない・・・それが当たり前でいたことが

今は信じがたいほど・・・

それぞれがピリピリしている

息苦しささえ感じるくらいに

きっと・・・誰もが同じことを思っているはず



気づくと手元はとっくにゲームオーバーになっていた・・・

俺としたことが・・・珍しい(苦笑)

気が散っている証拠だ・・・



そろそろ大野さんが来る時間

入口に神経を集中させているのが分かる




「おはよっ」



その瞬間、


一斉に声のする方を向く


「大野さん・・・・」

「リーダー・・・」

「・・・・・・・・(智くん)。」



にこりと笑い




「心配かけてゴメン・・・もう大丈夫だから(笑)

すっごい、久しぶりな気がする」



そう言って力こぶを作る大野さん・・・




一通り部屋を見渡すと

真っ直ぐに翔さんのほうへ向っていく



緊張が走る・・・


三人の視線が合う


みんなが大野さんを目で追う



「翔ちゃん、寝てる?そんなクマ作ってさ、いくら忙しいからって


無理するなよ、身体壊すぞ?」


そう言って翔さんの隣に腰を下ろし優しい笑顔で

話しかける



そんな大野さんを真っ直ぐに見られない翔さん

少し斜めに視線を落とし

「あ、あぁ・・・智くん、ゴメンお見舞いにも行かないで・・・・」


そう返すのがやっとの様子・・・



「いいって、気にすんな大したことなかったんだから」


そう言って翔さんの肩を軽くたたき


いつもの定位置・・・俺の隣に座った




それは・・・・・見た目にはごく普通の「日常」に見えるのに


違和感を誰もが覚える光景だった



大野さんが・・・・

やはり今までと違っていたから



当然だ・・・あんなことがあった後に

こんなリアクションされたら

翔さんでなくとも戸惑うだろう

実際・・・その様子に動揺している翔さんの

表情が痛々しくて

見ていられない


きっと話したいことが山ほど

あるのだろう・・・


だがここではそれも叶わず・・・



少しすると

翔さんはマネージャーに呼ばれ席を立つ


ドア近くで何かを伝えられると

見る見るうちに神妙な顔に変わって行く





その後、衣装に着替えだした大野さんの後姿を

見つめながら、部屋を後にした



緊張した空気の中

遠くから聞こえてくる相葉さんの大きな声・・・・

この時ばかりはその声に・・・救われた


楽屋にはいってくるなり大野さんを見つけると抱き着いて

歓喜にはしゃぐ、無邪気な人だ・・・


ホッとする・・・・

相葉さんならでは・・・か?





とりあえず、俺達は撮影の準備に取り掛かった