一息ついて

智くんの様子を伺う

相変わらずスヤスヤ眠っている

 

5日ぶりの対面・・・


たいして離れてはいないのだが

俺にとっては長く感じるのだから仕方がない

 

そのまま時間の経つのも忘れて

寝顔に魅入っていた


  
  

ドーランを落とせば綺麗な象牙色の肌が露わになる

俺等にしかわからない素顔の肌艶・・・

見た目通り柔らかな頬にそっと指を這わす

その度ピクリと目尻が動くが、覚醒までは至らず

このまま傍にいられれば満足・・・・

 

 

 

なわけが無い!!!

かと言って叩き起こすわけにもいかず

悶々とした時間を過ごすのかと思うと

忘れかけていた疲れが再び身体を巡ってきた

 

智くんを横目にしながらいつしか

ベッドにもたれかかり深い眠りについた

 

  




 

 

それはとても心地よい感触で

どこか懐かしいような香りすらする

欲しくて求め続けていたもの・・・

手に入らずにずっと秘めていた感情

それ事包み込むかのような甘い感触

 

幸せな夢を俺は今見ているのだ

このまま覚めないでくれと

何度も心で呟く

心なしか温かい体温までがリアルに感じられ

泪がこぼれ落ちる・・・・

時折、そよ風のように鼻さきに触れる柔らかな

筆先のようなものまでがくすぐったい感覚となって

全身を巡る・・・・

 

こんなにリアルな夢

今まで経験したことがない

感極まり愛しい人の名前を

口にしていた・・・

 

「・・・智く・・ん・・」

 

不思議なことに名前を口にするたび

それはどこからともなく

舞降りてくる

しっとりとした温かな感触

あろうことか・・・・

俺の口腔内にまで甘い「それ」は忍び込んでくる

近づいては離れまたそれを幾度も繰り返す

 

はぁ~・・・・なんと艶めかしい感覚

 

俺は相当重傷だと思い知る

智くんが好きすぎてこんな立派な

夢を見てしまうのだから・・・・

 

「んん・・・智く・・ん・・好き」

 

その時、俺の耳元から聞きなれた声が聞こえた

 

「・・・・・俺もだよ・・・」

 

その声は確かにそう言っていたんだ

・・・智くんの声だった

今まで聞いたこともないほどの

甘い囁き声で・・・・・

俺の名を何度も何度も囁いていた

恍惚のとき・・・

満ち足りた幸福感に包まれていた・・・・