しばらく大野さんをそのまま寝かせておいた
目の前で横たわる無駄に色香を放つその姿に
酒もすすみ彼の到着を待つ
「わりぃ、遅くなった」
「あぁ、いらっしゃい、思ったより早かったね・・・」
「ホントに寝ちゃったんだ」
愛おしそうに見つめる眼差しにチクッと胸がいたむ
彼も大野さんを愛している一人だから
「速攻だよ、翔さんにすることしたらご機嫌で
句だ巻いて一人陽気に飲み続けてこの始末・・・
いい気なもんだ」
「で、部屋まで連れていけなくて俺呼んだの?それだけで?」
ジョッキを軽く合わせビールを流し込む
「そうだよ、だって私じゃ運べませんから」
「じゃぁ、なんで俺に電話させたの?かなり焦ってたよ(笑)」
大野さんの食べ残したつまみを頬張りながら
イタづらっぽく笑って見せる
そんな顔もいかしてる・・・
「宝物ってさ、見つかるまでに大変なほうが
輝いて見えるじゃん?」
「まぁね、宝物ね・・・
でもいつでも輝いて見えるんじゃないの?
あの人からみれば(苦笑)」
「そうだけど、どんだけの輝きを手にしてるのかを
この際思い知っていただこうかと・・・」
「なるほどね・・・喉から手が出るほど欲してる人も
いるってこともね」
「yes!」
もう一度視線を大野さんに落とす
気持ちよさそうに眠ってる姿に
自然と細くなっていく目
見れば彼もまた同じように見つめていた
我らの望みは同じ
大野さんの笑顔をずっと見続けること
それだけ・・・・
「さて、翔さんは無事に辿りつけるかな?」
「今頃、髪振り乱してこっちに向かってるんじゃないの?」
「だといいのですがねぇ~・・・潤くん悪いけど肩貸して」
「オーライ、なんならお姫様抱っこする?俺は構わないけど?」
「さすがにそれは・・・目立つでしょ?」
二人に抱えられても一向に起きない
訳のわからない言葉の端はしに「翔ちゃん」と
言っているのだけは分かった
どんな夢を見てるのやら(微笑)
もうすぐ現実が目の前にやってきますから



