「智くん、支度できた?忘れ物は無い?」


矢継ぎ早にまくしたてる翔くん・・・


靴下が違ってる・・・


クスクスッ、

焦ってるのはわかるけど、まだ少し時間はあるだろう

式までは。







彼女が結婚することになったと報告を受けて

俺等は歓喜した!

あぁ、彼女って、例の管理士さんね。


特に翔くんは、普段なら絶対に遠慮して出席しない式に

二つ返事でOKをだしたぐらいの喜びようで

スタッフの計らいでセキュリティー上の問題を

クリアーしてもらっての出席だから

会場の後方からつい立てを挟んでの披露宴になるとの事

まぁ、混乱しないようにしてもらえて

ゆっくり式を見られるのはありがたい

俺は・・・多分初めてに近いから

緊張気味(笑)


翔くんは、友人も多いし、付き合いも頻繁に

してるようだから、ビデオLetterでよく披露宴に

華を咲かせてるようだ。


本人も行きたかった式があったって言うくらい

状況を把握して判断してるから

今回も考慮してのこと?


にしては・・・・無計画っぽい


単純に喜んでるんだろうなぁ(笑)




俺等はあれから2人の時間を満喫している

ケンカもしょっちゅうしてるし

大抵へそ曲げるのは翔くんで折れるのも翔くん

ケンカの理由が・・・正直俺はわかってないから(笑)

謝ることも出来ないわけで・・・

よくよく聞くと、まぁ、俺が悪いみたいで

気が付かないんだから仕方ない

そんな男に惚れた翔くんが悪い、好かれた翔くんが

悪い(笑)


毎日が飽きなくて毎日が楽しいよ

そんな時間がいつまでも続くことを

願ってやまない



「智く~ん、時間だよ!早く!!」



・・・・・子供だなまるで(笑)








式場について別室に案内される

彼女から挨拶があるとの事

もちろんウエディングドレスに

着替えてるんだろうけど

なんだか、会うのに緊張する




コンコン



ドアが開く

入ってきた彼女の姿に思わずため息が漏れる


・・・・うわぁ~綺麗だ!


隣で翔くんが固まってる(笑)

肘で突っつく


「あっ、すっげ~似あってるよ!」



「そりゃどうも!(笑)」





ふふふっ、相変わらずの男前発言(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 

 


「大野さん、このヘタレよろしくね!」





この人から翔くんを奪ったってずっとどこかで

思ってたから、俺、マジでうれしい

幸せになれて・・・・よかった。


「うん、大事にするよ。」


そう伝えるとにっこりと笑って

部屋を後にした




今のやり取りを横でみていた翔くん・・・

めちゃ不満顔で

「なんの話してたの?」って

すっとんできたもんだから

思わずおかしくて笑っちゃった

何でも気になる可愛いヤツ(笑)

「ん?何でもないから、気にすんな!」

何とかなだめて時間までゆっくり





雰囲気を味わっていた

 

 

ポケットの中身を握りしめながら・・・・