sho to satoshi vol.14



タクシーがエントランスに到着する


ふう~


大きくひとつため息を吐く・・・


シンと静まり返るエレベーターホール


靴音だけが響く


すぐに開くエレベーターに乗り込み


翔ちゃんの部屋の階を押す





もう寝てるだろうか?・・・・

俺は戻ってよかったんだろうか?

すべてを伝えてたいが。。。

こんな俺を受け入れてくれるだろうか

不安ばかりが頭の中を支配する







一歩また一歩、近づくたびに鼓動が大きくなっていく


翔ちゃんの部屋の前に着く


ドアを開ければ君がいる・・・


帰ってきたよ・・・俺


ドア開けてもいいのかな?




ドアに手をかけようとした時


上着の中のスマホが揺れる


翔ちゃんからの音・・・・


すぐに取り出しメッセージを見る





あぁ・・・・


俺、・・・・  クスッ


ふふふっ、やばい、泣きそうだ



ドアを開ける、まだ流れる君からの音



慌てて廊下に出てくる君の姿が


ぼやけて、よく見えないよ・・・・



「・・・・智・・くん・・・」


翔ちゃんの声・・・



言いたかった言葉を頑張って伝える


「・・・・・ただ・・・いま・・翔・・ちゃん・・・」





泣き笑いの変な顔してるだろうなぁ~

きちんと言えたかな? 俺・・・



次の瞬間身体が一瞬宙に浮く




えっ?・・・



翔ちゃんの両腕の中にすっぽり包まれてる俺・・・


・・・あったかい


      ***ドンナフウニダキシメルノ***



身体が離れていく、まだもう少しそうしていたかったのに


ゆっくり顔をあげて翔ちゃんをみつめる俺に大きな瞳が近づく


あっ・・・


冷たく冷えた俺の唇が温かいものに包まれる


そっと触れるだけの翔ちゃんの唇が俺の不安も溶かす


・・・やさしい


    ***ドンナフウニキススルノ***




離れていく君の大きな瞳が俺を映しだす


「・・・・お帰り・・なさい・」



思わずフワッと笑顔になる瞬間・・・




翔ちゃんも笑ってる・・・

  

見たかった、ずっと見たかったこの顔


翔ちゃんの笑顔・・・・

 
      
       ***ドンナフウニアマエルノ***

     


そしてゆっくり体を寄せていく・・・最高の抱擁だ


今度は俺も抱きしめさせて


背中にまわした両腕に力を込めて引き寄せる



鼓動の速さが、俺と同じなんだと安心する



俺より背の高い翔ちゃんの胸に顔をうずめて


温もりに浸る


そんな俺にそっと囁く


「智くん・・・・好きだよ・・」



一番欲しかった言葉・・・


     

     ***ドンナフウニササヤクノ***




翔ちゃん・・・・俺、今最高に幸せだよ・・・・