
翔さん・・・匙は投げられた
もう後戻りはなしだ
二人が幸せそうにしてくれないと
俺の中で、どす黒い感情が暴れ出すんだ

だから、俺のためにも
頼むよ・・・
俺は、リーダーの家に行くつもりでタクシーに乗り込み
行き先を告げた
翔さんに言ったことを実行するために
翔さんが忘れていった・・・いや、置いていった着替えを
受け取りに行く。
翔さんに頼まれたっていったらリーダーどんな顔するかな
「・・・・・・・。」
「すいません、ここで降ります」
俺は、途中で車を止めた
ReReReReReRe・・・
『もしもし・・・』
「あっ、松本だけど」
『・・・松潤、どした?』
「ねぇ、今近くに来てるんだけど、そっち行ってもいい?」
『・・・ん、悪い、今から出かけるから、また今度な・・・』
「出かけるってどこへ?明日仕事でしょ?」
『・・・午後からだからそれまでには戻る。』
「どこまで行くの?」
『・・・・青森。』
「青森?なんで、なにしに行くの?」
『・・・もう時間だから、切るね。 』
「えっ、ちょっ・・リーダー?」
・・・・・青森って今ごろどうして?
青森・・・青森・・・・
!! 奈良さんか、今ごろ会いに行くって・・・
ってか、いるの?そこに?
俺は、奈良さんのスケジュールを調べてもらい
居場所をかくにんすると、
丁度、その日に美術館へ行くとのこと
リーダーそこまで調べた?
いや、行き当たりばったりだろうな
相変わらず、無鉄砲な人だ
なにしに行くのだろう・・・
気になって仕方ない。
明日、直接聞いてみるか・・・・・
少し肌寒くなった街並みを一人歩きたくて
来た道を引き返していった
丁度この日は満月
「すっげ、スーパームーンってやつか」
青白く輝く月の光がなぜか
今のリーダーのように思えてならなかった
「儚げだな・・・。翔さん、しっかり捕まえてやれよ」
思わず出た言葉に、胸の奥がチクンとした
俺ならもっと・・・・・

あぁ、まただ。
ねじれた感情がわき起こる
そんな自分がひどく惨めに思えて
足早に家路へとむかった・・・・