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「おはよう」


時間より少し遅れて翔さんが入ってきた



昨日、あれから一人で飲んだのか?

酒臭さが少し残っていた。



昨日に比べ顔つきは撮影に影響ないけど・・・



目の充血半端ないな・・・


声かけるか?・・・・・



思いのほか翔さんを観察していたのに気づかれ


目が合ってしまった・・・・





「潤・・・昨日は悪かったな・・・」



「いや、別に・・・それより、昨日あれから・・・」


「何もないよ、一人で飲んで帰った。すまん、飲み過ぎた。」


「そう、」



これ以上何も聞ける雰囲気じゃぁないな・・・



てっきり、リーダーの家にでも行ったのかと思ってたから



リーダー・・・大丈夫かな


この感じじゃ、翔さんリーダーに対して無意識に避けるように


なりそうだし・・・



俺、あの人の泪に弱いんだよね・・・


何があったんだろうね~お二人さんに・・・・






滞りなく撮影は順調に終わり、先に楽屋を出ていく俺に、


念を押すように・・・いや、自分に言い聞かせるように



「潤、智くんとは本当に、何もないから」


そう声をかけてきた。



「そっか・・・・・じゃぁ、今日リーダーの家いってみるよ」



ガタンッ



翔さんの座っていた椅子が倒れ、仁王立ちした翔さんと


目が合う・・・




「翔さん?・・・・」



「…いや、何でもない。すまん、・・・おつかれ・・・」



これで、俺は確信する・・・


二人が離れたのは事実だろう・・・


でも、翔さんはまだリーダーを思ってる。



俺って、大根役者にはなれないもんでね・・・

本気で行かせてもらいますよ。

役者魂に火をつけたのは翔さんだからね!




「翔さん、何か伝えることあります?そう言えば、

置いてきたままの、スエットと、ジャケット、預かってこようか?」



「・・・・・あぁ、そうだったな。た・・のむ・よ。」




「了解!それと、俺が芸能人初のお客さんだったら、

翔さんは、芸能人以外での初?になるんだよね。俺より前にリーダーの

家に行ってるんだから。俺、どっちかって言ったら、翔さんの方で呼ばれたかったよ」



グルグル考え出した翔さんを置きざりにして、「じゃっ」って手を振って

部屋を出た。

翔さん・・・もっとシンプルに考えた方がいいって!




リーダーの方は・・・・翔さん次第ってとこかな?




一度懐に入れた人間はどんなことがあっても守ろうとするから


俺の時のように・・・・


翔さんのへの想いを引きずって荒れていたころの俺に


何も言わず手を差し伸べてくれた。


ただ黙って傍にいてくれた。


どれだけそれが嬉しかったか・・・・・


俺は一人じゃないって思えたから。


全てを包み込むその揺らぎの無い信頼と情に・・・・


一度はまると、みんな虜になるんだ。

安らぎを求めて・・・・


俺だって、翔さんじゃなかったら・・・・・


って何考えてんだか・・・ふっ。


諦め悪いな。案外俺も・・・・・


リーダー、何考えてるかわからないけど、翔さんは


言葉にしないと伝わらないよ。


単純だから。ことに、リーダーに対してはね。


俺、二人の笑顔が好きなんだ。見つめあってる笑顔が。



それを取り戻すことができるなら、なんだってするさ!


俺が今いるのはリーダ-のお陰でもあるんだからさ。


ね、リーダー!!