
「しょう・・・くん・・」

なんでまた君は、このタイミングでいるんだ・・・
こんなになるまで、どこで飲んだの?
「・・・・ふぅ~」
壁にもたれかかる身体を抱き起し玄関先まで引きずる・・・
「ん?・・・・」
軽い・・・しょうくん・・・
食べて無いの?・・・・・
リビングのソファーに横にする。
スースーと寝息を立て始めた翔くん・・・
お気に入りのブランケットを
掛ける。
無意識にそれを引き寄せ匂いをかぐと
にわかに緩む目尻。
緊張から解き放たれたような
優しい顔つきにかわる。
思わず熱いものが
込み上げる。
俺は間違ってる?
疲れ切っていたのだろう、しばらく
起きそうもないな。

翔くんがいなくなってから
全然手に着かなかった絵が急に書きたくなった。
久しぶりに持つ筆、満たされる時間
俺は、翔くんといる時間が好きで・・・
その満たされていた心のまま
絵を描けていたのか?
君への想いが筆を執り想像力を掻き立てる
だけど・・・・それを生活の糧にはしたくはなかった。

翔くん、俺ね、しばらく休みの日には
青森へ行くことにしたんだ。
ある人に会ってくる。
自分の中の「覚悟」ってやつが本物か
確かめてくる。
だから・・・・それまでもう少しだけ
待っていてほしい。
自分から言い出しておいて勝手だよね・・・
でも、いくら打ち消したところで
俺の人生に、君の存在は不可欠なんだって
気づいたから。
それまでに君が別の答えを出したのなら
俺は潔くそれを受け入れる。
それが君の幸せなら。それでいい。
だけど、その前に必ず迎えに行くから。
だからもう少しだけ時間をくれ・・・ないか?
君の冷たく冷えた頬に手を添え髪の毛にそっと口づける

「・・・・・?」
・・・・しょう
無意識なのか、俺のおとした薄ピンクの印に君の手が
ゆっくりのびていく・・・・
まるで俺を確かめるかのように
俺は翔を・・・気が付けば・・・抱きしめていた。