朝。
目が覚める。
そしていそいそと仕度をして、
家を出る。
学校。
面白いことは…実際そうそうない。
本音を言えば、退屈な場所。
逆を言えば、暇をつぶすに良いところ。
いつもと変わらぬ毎日。
…いや、違う。
今日は違う。
なぜなら、鍵があるから。
もちろん、あの鍵。
宮城の鍵。
いや、もしかしたら宮城のものではないかもしれない。
俺はそれを確かめるべく、
休み時間、宮城のクラスに向かう。
早速、5組の女子を捕まえた。
「あっ、あの、宮城さんいますか?」
女子生徒は困った顔をしていた。
上履きには、「岸辺」と書いてある。
「あっ、えぇっと…
…あれ、ちょっと待ってて~」
軽々しいな。
まぁ、気にはしないが。
岸辺さんは、5組の女子と少し会話をしてから、こちらに向かってきた。
そして、岸辺さんは一言。
「宮城さん、今日休みですよ。」
岸辺さんはそれだけ言うと、どこかへ行ってしまった。
5組の担任、沢田に聞くと、
どうやら無断で休んだそうだ。
しかも家に電話すると、
「昨日から帰ってない」
と言われたそうだ。
「まぁ、思春期だし、誰でもある家出だろう。
お母さんも心配している様子だったが、
『大丈夫、すぐに見つかるから、とりあえず一晩待ちましょう。』
と言ったらすぐに落ち着いてくれたよ。」
と笑っていた。
本当にお前は担任か、と殴ってやりたくなったが、
それでなにか問題になっても困るし、
実際には心配もしているのかもしれないと、殴るのはやめておいた。
「え、櫻井、もしかして何か知ってるのか?」
そう沢田に問われるが、
もちろん俺が知るわけない、むしろ、こっちが知りたいぐらいだ。
と言うと、なんでだか知らないが沢田は、
「櫻井は宮城と付き合ってるのか?」
と言ってきた。
もちろん、誤解を招くと困るのは俺だ。
もちろん、きっと宮城も。
だから、んなわけないでしょう。と言っておいた。
俺は、
もしかしてこの鍵に何か関係しているのではないか。
そう思い、
放課後、昨日の教室に、俺は向かった。
誰もいない教室。
窓が一部だけ全開で、ふぅっと風が、開いたカーテンをなびかせる。
俺は、昨日のような状態にした。
教室の鍵をすべて閉め、
教室の真ん中辺りの席に鍵を置く。
作業が終えたら、その景色を教室の後ろから見る。
昨日と違うのは、教室内に俺がいること。
…何分経っただろう。
急に鍵の辺りが、激しく光りだす。
もちろん、鍵自体も同様に。
俺は眩しくて手をかざす。
あの光はこれだったのか…っ!!
そして、ようやく見えてきたもの。
それは―
―宮城の姿だった。
俺は驚き、声を出す。
「なっ…!!!宮城ッ!?」
宮城も同様に、俺がいたことに驚いていた。
「!!!櫻井!!!!…君…。」
俺はまた唖然とする。
しかし、そんな俺に対して宮城はむすっと怒った表情だった。
「…櫻井君だったんだ…」
少し低い、怒っているような声が教室に響く。
「は?」
俺はわけもわからず。
全部が全部にわけわからんと言える状況に面してわけもわからず、
口がそう動いた。
いや、これは言い訳に過ぎない…だろう。
宮城は、俺の言葉を聞いてか、また怒った表情になる。
もう表情がたくさんあるんだなどころではない。
本気で怒っているらしい。
「あんた…最悪なことしてくれたね。」
宮城が本気で怖い。
でも、俺が何をしたのかわけもわからず、
ただ俺はその場でおどおどしている。
…情けない。
「鍵。動かしたでしょう。
いや、もしかして持って帰った?」
「…あぁ…。」
「だからこれ以上模索するなって言ったのに…。
迷惑なのよ。
あなたみたいな行為する人がいるから鍵かけてるのに!!!」
俺はただ無言で立ち尽くしていた。
何がどうなっている。
実際まだ理解できていない。
しかし宮城は怒っている。
こんなにしゃべっているのは初めて見た。
「…私、困ってたのよ。
ほとんど人がいない、広い空間で。
仮想の空間で!!
どれだけ私が迷い迷ってたと思ってんの!!
あんたのせいで親にも迷惑かけるし、
学校では無断で休んだってことになるのよ!!
それが問題で、呼び出しくらってもおかしくない!!!
あんたほんと最悪!!!」
俺はやっと口を開く。
宮城の口からどんどん出てくる言葉に、
俺は疑問を持った。
「…仮想空間?」
宮城は、ハッとした表情になり、
しまった!と言うような表情で口を手で塞ぐ。
やっぱり、こんな宮城、見たことない。
「…なぁ、全部説明してくれよ。」
俺はダメって言われたとしても、
それでも、聞いてみたかった。
全部、全部、聞きたかった。