ハン・ガン

菜食主義者




菜食主義者という言葉でイメージするような菜食主義者ではない。


結構重い。表題作は特に。

連作でその後の様子が描かれ、その後の話はわりとどちらも好きだった。身体に花を描くアート。夫と別れ化粧品店を切り盛りしながら子育てをする姉の話も。




菜食主義者

蒙古斑

木の花火


という三作の連作


菜食主義者

ある日変な夢を見て、肉も魚も動物に関するものが全て食べられなくなった主人公の妻ヨンヘ。夜中に冷蔵庫に入っていた肉類などを全て捨て、ナムルとご飯しか食べずみるみる痩せていく。夫は、妻の家族に助けを求める。そしてヨンへの父親が無理やり肉を食べさせようとして事件が起こる。

韓国はお父さんの力が偉大だから、周りは皆必ず言うことを聞くと思っているし、父親はそこまで言うことを聞かせたい。そして起こる悲劇。

妻の見た夢が酷いこの夢のイメージで、この話は読み直しができないです私。


蒙古斑 

菜食主義のヨンへにはまだ蒙古斑が残っている。と言う話を聞いたアーティストである義兄(ヨンへの姉の夫)が、その蒙古斑からイメージしたインスタレーションを作りたくなる。

蒙古斑から花が咲くようなボディペインティングをする。花の交わりのように、男女二人を映像にしたいと相手役を探し、男にも青い花と葉を描くが果たして


ヨンへは体に描かれた花を好む。


木の花火

その後ヨンへは精神病で病院に入る。夫と別れたヨンへの姉は森の中の病院に入れる。何も食べず痩せて骨だけになったヨンへがある日森の中で逆立ちしている。木になるつもりで。


ラストシーンはヨンへが救急車で別の病院に運ばれていく道の途中。姉とヨンへと二人のシーンで終わる。

その向こう側は私には読み解けない。


ところで、この本のシリーズ(新しい韓国の文学』といって装丁が美しい。出版社はクオンという会社。

特に半透明の艶紙に印刷された扉が好きです。