―― 1688という現場から見える商取引のリアル ――
近年、日本国内で「通販サイトを使って商品を購入する」という行為は、すでに国境を越えたものになりました。
これはこれまでのブログでも何度か触れてきたとおりです。
中でも利用者が多いのは、TEMU や SHEIN でしょう。
日本のAmazonや楽天とほぼ同じ感覚で、中国製の商品を直接購入できるプラットフォームです。
もう一段踏み込むと、
AliExpress(アリエクスプレス)、淘宝(タオバオ)、Tmall(天猫) といったサイトが続きます。
このあたりから、「中国へ買い付けに行く」という感覚が少しずつ混じってくる方も多いのではないでしょうか。
そして、さらにその先にあるのが 1688 です。
1688とは何か
1688は、中国国内向けの BtoB(業務用)通販サイト です。
基本的には中国国内での取引を前提としているため、日本から直接購入することはできません。
そのため、
・中国にいる知人・友人を介する
・購入代行業者を利用する
といった方法が必要になります。
業務販売向けとはいえ、少量から購入できる商品も多く、個人利用がまったく不可能というわけではありません。
ただし、日本へ送る(=輸出する)工程 が必要になり、やり取りも中国語が基本となるため、相応のハードルがあるのも事実です。
STK商会と1688の現場
私たちSTK商会でも、1688からの商品購入についてご相談・ご依頼をいただくことは少なくありません。
実際の業務では、
・中国国内から該当ページへアクセス
・必要に応じて販売者や工場と直接コンタクト
を取りながら話を進めています。
そこで見えてくるのは、「想像はしていたが、やはり驚かされる」というやり取りの数々です。
最も多いのは「釣り広告」
1688上で最も頻繁に遭遇するのが、いわゆる 「釣り広告」 です。
日本側の依頼者が、
・表示されている価格
・掲載されている数量条件、など
を前提に商品指定をしてきます。
しかし、実際に問い合わせてみると、
・「それは部品の価格です」
・「その価格では販売できません。正価はこちらです」
といった返答が返ってくることが珍しくありません。
中には、
「その金額は釣りです。サイトへ呼び込むためのものです」
と、臆面もなく明言する工場や店舗すら存在します。
日本の商習慣に慣れていると、なかなか衝撃的なやり取りです。
玉石混交という現実
こうした経験を重ねるほどに強く感じるのは、
中国の通販・製造業界は本当に玉石混交である という事実です。
・情報が雑
・表示が誇張されている
・条件が後出しされる
こうしたケースも多く、照会作業が徒労に終わることも正直あります。
それでもなお、その膨大な中から
「本当に信頼できる工場・商品=宝石」 を探し当てることこそが、
私たちに課された役割なのだと考えています。
中国製品を、侮ることなかれ
もう一つ、現場で強く感じたことがあります。
それは、
「中国製商品、侮ることなかれ」
ということです。
確かに雑な商品、説明不足な商品も存在します。
しかし一方で、
・技術力が高い
・改善スピードが速い
・要望に対する柔軟性が非常に高い
といった、日本とはまた違う強みを持つ製品・工場も数多く存在します。
表面的な価格や表示だけで判断してしまうと、
本当に価値のあるものを見逃してしまう。
そんな学びを、私たちは1688の現場で何度も得てきました。
終わりに
中国との商取引は、簡単でも、楽でもありません。
しかし、だからこそ見えてくるもの、得られるものがあります。
混沌の中から確かな一手を見つけ出す。
それができて初めて、「中国と取引する意味」が生まれるのだと思います。
STK商会としては、これからも
現場で得た実感と経験を、できるだけ正直に共有していく
そんなブログを書き続けていきたいと考えています。
