「士官学校」OB・OG会報(臨時号)

 

 

 

 

 

◎米国

 

国防総省では、米海軍の空母機動部隊を維持すべきか否かについて深刻な議論が続いています。これは、中国、ロシアといった敵対勢力が地上配備型ハイパーソニック系兵器の充実・強化を図っている状況を踏まえてのもので、米海軍の装備をいかに整備するべきかという課題に一定の方向性を示すことが求められています。具体的には、これまで通りに空母機動部隊を維持するのか、それともロシアや中国に対抗して米軍もハイパーソニック系装備等を強化するのか、という選択肢が想定されます。限られた国防予算の範囲内で最も有効な戦略、戦術を可能にする装備体系という解を導き出す作業が続けられています。

 

 

 

◎米国

 

国防総省と米海軍は、有事に米陸軍及び海兵隊の主要装備を洋上輸送するべき輸送艦艇がジリ貧状態であることに警鐘を鳴らしています。今後適切な投資を行わないと、15年以内には老朽化により過半の輸送艦艇が退役を余儀なくされる見通しです。米海軍としては、新型輸送艦艇の建造推進と共に、民間船舶の活用及び同盟国軍の艦艇の活用によって重量型装備の90%を輸送するキャパシティの確保を目指す方針です。

 

 

 

◎米国

 

米空軍は、技術系シビリアンが今後大量にリタイアを迎えることに備えて、人材確保に本腰を入れ始めています。米空軍の場合、特に高度な科学技術を有する修士課程修了者を充てるべきシビリアンポストが多く、人材の獲得競争を勝ち抜くことは容易ではありません。米空軍は今後、全米の大学、大学院へのアプローチを強化して、有能な後継人材を獲得したいと考えています。

 

 

 

◎米国、欧州

 

在欧米軍司令部は2020年度の合同演習計画「Defender 2020 in Europe」における最大の課題は「官僚制の打破」であるとアナウンスしています。EU地域内といえども、NATO軍部隊が国境を越えようとする場合は煩瑣な手続きが必要であることから、これまでも歴代在欧米軍幹部達は欧州サイドにその改善を促してきました。在欧米軍としては、ロシアの脅威が依然として厳しい状況を踏まえて、より円滑な軌道展開を可能にする環境の整備を進めたい意向です。併せて、NATO軍部隊相互のインターオペラビリティ(装備等の相互融通性)の向上についても、上記合同演習を通じて推進したい考えです。米陸軍はまた、2020年初頭のバルト三国における合同演習に備えて、戦車30両を装備する米軍部隊(500名規模)をリトアニアの訓練施設に派遣することを決定しています。

 

 

 

◎米国、中南米

 

米南方軍司令部は、来年(2020年)から米軍と中南米諸国軍部隊の合同演習の内容を大幅に変更する方針を明示しました。従来は自然災害等に対応するための人道支援系の合同演習が主体で、派遣される米軍部隊は海軍と海兵隊が中心でした。しかし、今後は戦闘訓練を含む大規模な合同訓練を積極的に実施していく計画で、米陸軍部隊も参加する見通しです。これは、同地域にロシア、中国、イラン等の敵対勢力が影響力を及ぼそうとする動きが顕在化してきたことに対応するものです。

 

 

 

◎米国、オセアニア

 米インド太平洋軍米陸軍司令部は、2020年からオセアニア地域における同盟国、友好国との連携強化を進める方針を発表しました。2014年から継続実施している累次の合同演習計画「Pacific Pathways」を更に強化することで、各国軍部隊との連携を深化させることを目指します。このため、インド太平洋米陸軍としては、各国・地域に米軍部隊をローテーション派遣する期間を延長する方針です。米海軍はフィリピンのスービックベイを拠点として、米比日3か国の合同演習(10日間)を開始しています。