ステビア濃縮エキス誕生秘話(その2)
「ステビア草の茎をみかんの木の根元に
堆肥の代わりに敷いていたら、
そのみかんの木だけがとてつもなく甘く美味しくなった」
この不思議な話はやがてある経営者の耳に入ります。


その人の名は佐藤直彦氏。
台湾で生まれ、終戦とともに帰国。
その後、お父さんが亡くなり、養子に出され、
大変な苦労をされました。
気仙沼水産高校を卒業した後、様々な職業を経験し、
ついにシロアリ駆除会社を起業して成功した、
まさに立志伝中の人物でした。

佐藤氏は、取引先と行ったタイ旅行で、
クルージング中にいわゆる三角波に襲われ、
転倒して首を強く打ち、以来、ひどい頭痛に悩まされてきました。
病院に行っても、治療方法はなく、
禁酒・禁煙を言い渡されるのみ。
頭痛はいっこうに良くならず、佐藤氏は苦悩します。

佐藤氏は、ある日、大変に腕の立つという
福島県の整骨院を紹介されます。
佐藤氏はここで、先ほどの
宮崎県のミカンの一件を耳にするのです。

 整体師の方から、何気なくもたらされた
ステビアとミカンの不思議な情報……
普通の人なら「ふ~ん、そう」の一言で
終わってしまうかも知れません。

佐藤氏と一般人の違うところはここからです。
佐藤氏は、この話に「神の啓示のような何か」を感じました。
そしてその後、必死にステビアの情報源を探し出し、
単身、宮崎に向かうのです。 
佐藤氏は話をじっくり聞き、この目で確かめ、
そしてついに、ステビア草の研究を始めました。
 
最初は、「甘味料ステビアの成分が農作物に良いのだろう」
と考え、甘味料ステビアを色々な作物の畑に撒きましたが、
何の変化もありません。
そこで次にステビア、ステビア草を天日乾燥させて細かく砕いて、
それを葉だけの部分、茎だけの部分、
茎・葉の混合体(しかも比率を少しづつ変えて)を畑に撒きました。
これによって、色々な農作物の形、
大きさ、色、味覚等々の向上が見られ、
自信は“確信”に変わります。


しかし、現代の農家さんは「マルチ」というビニールを
雑草を抑えたり、地温を上げたりするために張ります。
たとえば夏野菜にはほとんど、マルチを張っていますね。
マルチには一定間隔に穴を開けて、
そこに農作物の苗を植え込んで行くわけです。
そうすると、その穴から注入したり、
葉っぱに撒布して使用する農業資材としては
“液体”の形の方が望ましいということになりました。

佐藤氏は、悩みます。
研究者の方と試行錯誤をするのですが、
どうしてもステビア草を濃く煮出して抽出したエキスは、
ほおっておくと腐ってします。
腐らせない……それはワインのように醗酵・熟成させるしかない。
佐藤氏はそう結論付けて、さらに試行錯誤を続けます。(続く)