1995年10月に大分県林業試験場は、ステビア粉末と、その他に20数種類の微生物資材を用意し、対照区(何の資材も添加していない区)と比較して、堆肥化しにくい〝おがくず〟を使ってボカシ(と呼ばれる堆肥)作りをし、どの農業資材が堆肥化をスムーズに進めるかを研究したのです。


その結果、「ステビア粉末を使用したボカシは、他の微生物資材区、対照区と比較して微生物の活動が著しく活発になる」との報告を得ました。
また熊本県のJAあしきた堆肥センターでは、牛糞を、野積みせず屋内で短期間に理想堆肥を製品化する目的でステビア農業資材を添加する試験を行いました。堆肥をつくるには微生物の力は不可欠です。


牛糞堆肥は、通常、3年間寝かせて、糞尿中の塩分を抜きながら完熟化し使用しています。完熟とは、病原菌や雑草種子などが死滅していることと、糞の悪臭(アンモニア)が消えている状態を言います。その為には“発酵温度”を70℃以上に維持することが必要です。中途半端な発酵では悪臭や有害物質が残っているので、作物をダメにしてしまう可能性があります。この完熟にする期間を短くするために、様々な設備や添加物で発酵温度を上げて製造する堆肥もありますが、当然価格が高くなります。


牛糞20トンにステビア粉末50キログラムを混入したところ、何と24時間で臭いがなくなり、1週間後には堆肥温度が摂氏80度近くまで上昇し、2週間も続き、徐々に温度が低下し40度~50度を維持したのです。ステビアを堆肥に混ぜたことにより、有用微生物の活性化がもの凄い勢いで進み、自然発酵で温度が上がり始め80度を超えたのです。ステビアは、有用微生物の餌になるので、素早い高温の立ち上がりが可能なのです。


そして、ほぼ1ヶ月で堆肥となり、2ヶ月後の分析ではチッソ、リン酸、カリが減少し、他の成分も適正範囲でした。PHも低下しており、ステビアを加えたことで分解が早くなっていると考えられました。つまりほぼ3ヶ月で「完熟に近い堆肥」が出来上がったのです。ステビアがいかに微生物を活性化するかが、このことだけを見ても良くわかります。


ステビア研究者は自信を深めました。臭気低減の効果もあり、かつもの凄い短期間で、栄養バランスの良い完熟堆肥の製造が可能となれば、大幅なコストダウンも実現できるわけです。


理想の土壌とは細菌、糸状菌、藻類、原生動物など、有効微生物群と有害微生物群がバランス良く多数生息し、各種ミネラルバランスの整った土だといわれています。しかしながらこれまで、農薬や化学肥料の大量使用により有用微生物が極端に減り、また連作によって土壌バランスは崩れています。

堆肥という事例で、ステビアが有用微生物を活性化させることを確認しました。ステビア農業資材を直接、土に使用しても、同様な効果を得ることは、十二分に予想がつきます。農業の基本は「土」です。土をを健康にすると農作物の育成も良く、おいしくなるというわけです。


微生物が土に増えるとミミズが帰ってきます。ミミズの役割は、土を耕し、土中の有機物を食べ、そのカスを排泄することです。そのフンが微生物のエサにも、天然の肥料にもなるわけです。さらに空気中から窒素を取り込み窒素化合物をつくり、作物の根に栄養を与えます。さらに土の中に空洞を作り、新鮮な酸素や水分を地中に取り入れやすくするのです。

これを「団粒効果」といい、いわゆるフワフワした土のことで、自然のサイクルを持つ生命力豊かな土をつくるのです。しかしこれも微生物の活性があって初めてミミズが活性化するのであって、ステビア農業資材を与えることで土が生き返ってくるのですね。