こんにちは。

音楽を通して

幸せな園づくりをサポートするStepの山本です。

コロナによる自粛も解除され

保育も普段通りのにぎやかな状態になっているのではないでしょうか？

必ず第二波が来ると言われていますが

心を配りながら子ども達と楽しい時間を過ごしていきたいですね。

さてマーチングの指導が行われている園では

早速、練習が始まっているのではないでしょうか・・・？

マーチングの指導もですが

合奏など

毎年、担任の先生方が悩まれるのは

子ども達のパート決めだと思います。

このブログを読んでいただいている

幼稚園や保育園の先生方は

どのようにしてパート決めをされているでしょうか・・・？

これまでマーチングの指導に関わってきた中で

時々

「なぜ、この子をこのパートに配置したのかな？」と

感じることがあります。

担任の先生に話を聞くと

「しっかりしているから」

「頭がいいから」

「出来る子だから」

という声を聞きます。

合奏のパート決めも同じようなことがあります。

もちろんマーチングの場合

先頭に立つドラムメジャーや

鼓隊として楽器を演奏するためには

話を理解する頭の良さは必要ですが

広いフィールドで

子ども達一人一人が

自分の力で考え

歩数を合わせながらフォーメーション通りに移動しつつ

演奏や演技としても

全体一つにまとまった表現にするためには

子ども達のメンタルやタフマインドを考えることも

必要になってきます。

「幼児なのにタフマインド・・・？」と

思う方もいらっしゃるかもしれませんが

どんな年齢でも

心の逞しさや心理は存在します。

ここで

大太鼓を例にお話しましょう。

マーチングや合奏で

大太鼓は曲の基盤となり拍子を刻むという

演奏全体を左右する重要なパートです。

小太鼓やシンバル

ガードなど

他のパートの子ども達には

「大太鼓の音をしっかり聴いて合わせる」

という指導をします。

けれど

その肝心の大太鼓が

弱い音でしか叩けないと

離れて移動している子ども達からすると

合奏としての基盤や柱が分からないため

全体が１つにまとまりにくくなります。

そこで

大太鼓を担当する子ども達には

全体の中での役割を理解させ

強く叩くように声掛けをします。

「思い切り叩いても

壊れたり破れたりしないから大丈夫だよ」

と言いながら実際に叩いて示してみても

気持ちの優しい子や

のんびりしている子には

持って生まれた気質や感覚的に

こちらが希望しているような音を叩くことが

難しい場合もあります。

特に大太鼓は

ホルダーを装着し

視界が塞がれそうな大太鼓を

身体の前に付けないといけない為

どうしても体格的に

大きな子に割り当てることになります。

けれど

体格が大きい子みんなが

勇気を持って大きな音を叩けるか・・・？

というと

必ずしもそうではありません。

中には音に敏感で大きな音を出すことが

苦痛に感じる子もいます。

そこでStepの指導では

マーチングや合奏のパート決めは

必ず実際に全ての子ども達に楽器を叩かせ

その様子を見て判断するようにしています。

園ごとに構成楽器は異なると思いますが

Stepの指導で行っている方法をご紹介します。

まず

①お部屋やホール全体を使い４隅に机を置き

大太鼓

シンバル

タムトリオ

小太鼓

をそれぞれの机に置き

それぞれの楽器の名前や叩き方を説明します。

（もちろん　この時は先生も本気で

　正しい奏法で大きくカッコ良く叩きます）

②クラスや女の子・男の子とグループに分かれ

それぞれの机の前に２列になり並びます。

③各楽器毎に

　それぞれ２人ずつ

　シンバル以外はホルダーも装着し

　叩く準備をします。

④一人の先生が

ホイッスルで

「ピー　ピー　ピッピッピッ」

と吹き

太鼓のスティックやカウベルなど

全体に聴こえる大きさでメトロノームの代わりに

リズムを刻みます。

④その合図に続き

　楽器を持っている子ども達は

　事前に指示されたリズムを

２～４小節間叩きます。

　・大太鼓・シンバル　→　全音符（４拍毎）

　・小太鼓　→　左右のバチを交互に４分音符（１拍毎）

　・タムトリオ　→　左右（ミドルとロウ）を4分音符で「右右左左」と言いながら

　　　　　　　　　　　２回ずつ叩く

　⑤叩き終わったら列の最後に並び、次のお友達と交代

ドラムメジャーの場合は

①園にあるバトンの本数分のグループに分かれ

縦の列に並びます。

②バトンを見せて

　持ち方や拍子の取り方を説明します。

②打楽器と同様一人の先生が

ホイッスルで

「ピー　ピー　ピッピッピッ」

と吹き

太鼓のスティックやカウベルなどで刻む

メトロノーム代わりの音に合わせ

バトンを顔の前で上下に動かし

拍子を取ります。

③終わったら列の最後に並び、次のお友達と交代

といった感じです。

この「マーチングごっこ」の体験は

何事も実際に楽器やバトンに触れ

楽器の重さを体感し

響きを聴くと

その子なりに

「叩いてみる前は〇〇をやってみたいと思っていたけど

△△の方がピンと着た！」

と自分自身で決める希望パートも判断し易くなります。

そして

先生方も机上の相談で中々判断出来ないことも

子ども達の様子を観ると

納得した上でパート決めをすることが出来ます。

合わせて

ここで先生方にお伝えしたい大切な話があります。

この「マーチングごっこ」の活動は

上手に出来る子を選出する

「オーディション」

ではありません。

私達指導する側は

楽器やバトンに触れる子ども達一人一人の様子をしっかり観て

「どのパートを担当させてしまうと

身体的・メンタル的にも

必要以上の負担がかかってしまうか・・・？」

「目に見えない部分で無理をさせることにならないか・・・？」

を判断するのです。

園により異なるかと思いますが

マーチングの練習は

2学期の運動会に向けて

1学期から半年近く練習し

子ども達にとっても

その継続が園生活の一部になります。

時々・・・

いや

よく担任の先生がパート決めをする時に

「〇〇ちゃん（くん）には頑張って成長して欲しい」

という言葉を聞くのですが

私からすると

その先生の子どもに対する見立てが違っていたり

パート決めの時は

「頑張って欲しい」

と思いながら

先生も練習が始まると

その思いは残りつつも

全体を指導することで精一杯で

その子が先生の願い通りに成長するような

指導や言葉掛けも出来ないまま

本番を迎えるケースもあります。

保育の中でマーチングを導入するのは

決して他者評価の為ではありません。

活動を通し

子ども達一人一人の心身の成長をさせる為です。

マーチングや合奏は

クラスや学年を一つのチームとして

目標に向かい頑張りますが

決して

子ども達全員を同じレベルに引き上げることが

目的ではありません。

先生が

子ども達一人一人の良さを理解し

一人一人がそれぞれの幅で成長出来れば

それで良いのです。

最初にメンタルやタフマインドに

触れてお話しましたが

マーチングは個人的にかかる負担が大きい活動でもあります。

子ども達が楽器に触れる様子も見ることも無く

先生のイメージで判断した

子どもの見立てがずれていたり

子ども達のことは横に置き

マーチングを成功させることに考えが向いてしまうと

指導される子どもにとっては

「わくわくしない」

「やらなければならない」

を抱え続ける半年間になってしまいます。

もちろん

マーチングや合奏は

合わせることがとても大切ですが

それ以上に

小さな子ども達がそれぞれ命を輝かせ

自分なりの達成感を得ることの方が

とても尊く

その後の成長へと繋がって行くのです。

今年度は休園や分散登園など

例年通りのカリキュラムが組めず

「間に合うかしら・・・」

と不安がよぎる先生もいらっしゃるかもしれませんが

何事も始まりはとても大切です。

「何の為に保育でマーチングを取り入れているのか？」

を再確認し

子ども達一人一人の笑顔輝く活動となるように

取り組んでいきたいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

明日もきっといい日になりますように

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「マーチングごっこ」のススメ ～園児のタフマインド～

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