~源典侍(げんのないしのすけ)の巻~
早いもので、15回目を迎えました【Womanを観る前に・・・】。今回は、源典侍をご紹介します。
さて、源典侍(げんのないしのすけ)と言っても、「誰だよ!?」と思われる方が大半だと思います。
おそらく、高校生が頑張って古典の受験勉強をしても、ほとんど出題されない人物ではないかと思われます。つまり、源氏物語の中で、かなりレアな人物です。別名箸休めの女。(←すいません、勝手に名づけました(汗))
彼女は、【年をとっている色好みの高級女官】として登場します。美貌、教養共に優れているのですが、とにかく男好き。お婆さんになっても男好き、というキャラです。もののあわれの文学と言われる源氏物語の中で、近江の君(←頭の中将の娘ですね)と並ぶ笑われ役で位置づけられている、特殊な人物です。
初登場のときはすでに57,58歳で、その時、源氏は18,19歳。つまり、現在に置き換えますと、還暦をまじかに控えた女性が、成人前の青年に・・・、という状況です。
当時の2大色男、光源氏と頭中将がお互いをからかうために婆さんを(←源典侍のことです)誘惑して勝負するという話で出てくるのですが(それにしても、いつの世も男は幼稚ですね。もちろんすべての人が、じゃありませんけど)、最終的にこの話は、この婆さんを二人が笑いものにして終るのですが、なんやかんや言っても、彼女はこの2大スターと契りを交わしています。これぞ、男好き女の面目躍如。さすが、平安時代のハーレクインロマンス、恐るべし!という感じです。
源典侍は3度源氏物語に登場しますが、重い話の直前に急に入ってきます。
1度目は、藤壺懐妊後。(=不義密通事件後)
2度目は、葵祭り中。(=葵の上vs六条御息所の車争い直前)
3度目は、あの女キラー光源氏が遂に最後まで落とすことの出来なかった朝顔との別れ前。(=以降、源氏の人生は精彩を欠いていきます)
どの話も、ドラマで言ったら、先週いいところで終って、今週楽しみにしてたのに、突然ワケの分からぬサイドストーリが始まって、「そんなのいいから続きを見せろよ!」みたいな話です。でも、これがあるから、より一層読者はひきつけられたりもします。あってもなくてもいい話ですが、作家・紫式部のエンターテナー性を感じます。
源典侍は紫式部の兄嫁、源明子(みなもとのあきこ)をモデルにしたのではないかと言われています。事実、源明子は書かれた当時57、58歳で、源典侍と呼ばれており、何よりも、この話が書かれた後、「物語の中で辱められた」と1007年5月7日、辞表を提出しています。このことから、紫式部は兄嫁がさぞかし嫌いだったのだろう、または陰険な人間だ、という説を唱える研究者もいますが、実際はどうだったのでしょう?
そんな意外にも苦いエピソードを持つ源典侍の話ですが、私は、源典侍を好きな人は結構いるのではないかと思います。『あさきゆめみし』を読んでも、漫画家の大和和紀さんは、きっと好きだろうな~と感じましたし。
では、何が彼女の魅力か?
私が思うのはパワフルなトコでしょうか・・・。相手が自分のことをバカにしようが、そんなの関係ねーッ(by小島よしお)的エネルギー。好きなものは好きだーとでもいうのでしょうか。自分の心に正直な人は、どんなに滑稽であっても、魅力的ですよね。
ヨン様目当てに韓国まで行ってしまうおば様たちに、似たものを感じるのは私だけでしょうか?
ちなみに、源典侍が最後に登場するとき彼女は71~72歳。当時の平均寿命からすると驚異的です。エネルギッシュな人だ・・・。
さて、自分は一体どんな風に年を重ねるのか?
そんなことを考えさせられた、源典侍でした!
安野由記子
早いもので、15回目を迎えました【Womanを観る前に・・・】。今回は、源典侍をご紹介します。
さて、源典侍(げんのないしのすけ)と言っても、「誰だよ!?」と思われる方が大半だと思います。
おそらく、高校生が頑張って古典の受験勉強をしても、ほとんど出題されない人物ではないかと思われます。つまり、源氏物語の中で、かなりレアな人物です。別名箸休めの女。(←すいません、勝手に名づけました(汗))
彼女は、【年をとっている色好みの高級女官】として登場します。美貌、教養共に優れているのですが、とにかく男好き。お婆さんになっても男好き、というキャラです。もののあわれの文学と言われる源氏物語の中で、近江の君(←頭の中将の娘ですね)と並ぶ笑われ役で位置づけられている、特殊な人物です。
初登場のときはすでに57,58歳で、その時、源氏は18,19歳。つまり、現在に置き換えますと、還暦をまじかに控えた女性が、成人前の青年に・・・、という状況です。
当時の2大色男、光源氏と頭中将がお互いをからかうために婆さんを(←源典侍のことです)誘惑して勝負するという話で出てくるのですが(それにしても、いつの世も男は幼稚ですね。もちろんすべての人が、じゃありませんけど)、最終的にこの話は、この婆さんを二人が笑いものにして終るのですが、なんやかんや言っても、彼女はこの2大スターと契りを交わしています。これぞ、男好き女の面目躍如。さすが、平安時代のハーレクインロマンス、恐るべし!という感じです。
源典侍は3度源氏物語に登場しますが、重い話の直前に急に入ってきます。
1度目は、藤壺懐妊後。(=不義密通事件後)
2度目は、葵祭り中。(=葵の上vs六条御息所の車争い直前)
3度目は、あの女キラー光源氏が遂に最後まで落とすことの出来なかった朝顔との別れ前。(=以降、源氏の人生は精彩を欠いていきます)
どの話も、ドラマで言ったら、先週いいところで終って、今週楽しみにしてたのに、突然ワケの分からぬサイドストーリが始まって、「そんなのいいから続きを見せろよ!」みたいな話です。でも、これがあるから、より一層読者はひきつけられたりもします。あってもなくてもいい話ですが、作家・紫式部のエンターテナー性を感じます。
源典侍は紫式部の兄嫁、源明子(みなもとのあきこ)をモデルにしたのではないかと言われています。事実、源明子は書かれた当時57、58歳で、源典侍と呼ばれており、何よりも、この話が書かれた後、「物語の中で辱められた」と1007年5月7日、辞表を提出しています。このことから、紫式部は兄嫁がさぞかし嫌いだったのだろう、または陰険な人間だ、という説を唱える研究者もいますが、実際はどうだったのでしょう?
そんな意外にも苦いエピソードを持つ源典侍の話ですが、私は、源典侍を好きな人は結構いるのではないかと思います。『あさきゆめみし』を読んでも、漫画家の大和和紀さんは、きっと好きだろうな~と感じましたし。
では、何が彼女の魅力か?
私が思うのはパワフルなトコでしょうか・・・。相手が自分のことをバカにしようが、そんなの関係ねーッ(by小島よしお)的エネルギー。好きなものは好きだーとでもいうのでしょうか。自分の心に正直な人は、どんなに滑稽であっても、魅力的ですよね。
ヨン様目当てに韓国まで行ってしまうおば様たちに、似たものを感じるのは私だけでしょうか?
ちなみに、源典侍が最後に登場するとき彼女は71~72歳。当時の平均寿命からすると驚異的です。エネルギッシュな人だ・・・。
さて、自分は一体どんな風に年を重ねるのか?
そんなことを考えさせられた、源典侍でした!
安野由記子
