不器用でも、歩いてく

不器用でも、歩いてく

不器用でも、歩いてく。
空っぽだったあの頃の私へ。描けなかった未来を、今少しずつ歩いています。
迷って、止まって、それでも働く自分を少しだけ誇れるようになった。
これは30代の挑戦の記録。
光を信じて歩く誰かに、そっと届きますように。

夜、ノートパソコンの前に座る。

Excelで作った履歴書のフォーマットを開いたまま、しばらく画面を見つめていた。


氏名、住所、連絡先。

そこまでは数日前に入力していた。

でも、それ以降、何も進んでいない。

特に「志望動機」の欄だけが、ぽっかり空白のままだ。


職務経歴書も、まだ真っ白なままだった。

履歴書よりも具体的な内容が求められるその紙には、なぜか手が伸びなかった。

どこから、どう書けばいいのか。

考えすぎて、動けなくなっていた。


この会社を辞めることは決めた。

けれど、じゃあ自分は何がしたいのかと問われると、まだはっきりとは言えない。

「今のままじゃだめだ」と思った気持ちは本物だけど、それだけじゃ次へは進めない。


履歴書って、未来のことを書くものなんだな。

ただ過去を並べるだけじゃ足りない。

これからの自分を、どう描くか。

それを言葉にしなければならない。


ふと視線を落とすと、机の端に置きっぱなしだった古いメモ帳が目に入った。

めくってみると、過去の点検記録や資格の勉強メモ、現場での気づきが書き込まれていた。

細かい数字、図、走り書きのようなメモ。


こんなふうにして、僕はここまでやってきたんだ。

大きな成果はなくても、少しずつ積み重ねてきたものが、ちゃんとある。

それは、これから先にもきっと繋がっていく。


もう一度、パソコンの画面に向き直る。

ゆっくりとキーボードを打ち始める。


「現場経験を活かし、設備保全の専門技術をより深められる環境で――」


短い一文。でも、それが今の僕の言葉だった。

完璧じゃない。でも、これが僕の“今のかたち”だ。


空欄はまだある。

職務経歴書にも、まだ一文字も書かれていない。

でも、今日はこれでいい。