公園で唄う男
昼下がりの公園で ボクは見る
何を求めているのだか 求めていないのだか
ひとり唄う男を
公園の木陰の階段で
「東洋経済」を尻に敷き
菓子パンひとつ食べてから 唄い始める
痩せ形 中背 メガネ サラリーマン風
20代の半ばだか 後半か
歌詞カードを手に 唄う 三十分か一時間
灼熱の太陽と 蝉しぐれ
ひとり公園の片隅で
流行り歌なのか 誰かへ贈る歌なのか
その目はこの世の誰をも
気にせず はばからず
唄う 一心不乱に 三十分か一時間
昼休みが終わりかけるとき
最後の歌も終わる
東洋経済を鞄になおし 何処へいくのか
昼下がりの公園で ボクは見る
何を求めているのだか 求めていないのだか
ひとり唄う男を




