次の日ビンスと私は、アンソニーのお墓に行く事にして、リムジンを頼んだ。
私は住んでいるミッドタウンの同じブロックにある、ガラス張りのウィンドウにアヒルが飼われている.いかにもゲイが経営している花屋に行き、迷わず紫色の薔薇を選んでいた。
ビンスは紫色の薔薇の花束を抱えていた私を見て叫んだ。
「それはアンソニーが一番愛してた花だよ…」
リモが、クィーンズにある共同墓地に着いた。
日本の墓地と違い、アメリカな共同墓地は広くて、芝生と白い同じ墓石が並んでいる。
ビンスは事前に叔母から、目印になる大きな木からどうアンソニーの墓に行くのか聞いたメモを持っていた。
然し、私はリモから先に降りて、
不思議な事に、足が半分中に浮いているような足取りで
アンソニーの墓の前に着いていた。
「ビンス!ビンス!ここよ!」
私達は暫く、墓前で祈りを捧げていた。
「ここにアンソニーの写真を飾りたいな。とても美しかったんだ…」
涙声でビンスが呟いた。
私は初めてアンソニーの姿を見たエリアの夜を思い出していた。
漆黒の髪な美しい顔と静かな佇まい…
慈愛深く誰からも愛されたアンソニー
私が本当に恋していたのは、アンソニーの方だったのではないのかという気持ちが沸々湧いてきた。
それと同時に、私、なんでビンスと付き合っているんだろうと、急にビンスに対する気持ちが潮が引くように覚めて行くのがわかった。
元々ビンスの様な、お調子者はタイプじゃないのだ。今まで、ふたりでいるのが自然だった様に過ごしていた事が不思議だった。
お墓りから帰ってから、ビンスに会う事はなかった。
ビンスから2回コレクトコールがかかってきた。
それまで気に止めてもいなかったが、ビンスからの電話代でさえ、私が払っていたのだ。
「アンクルビンスからのコレクトコールです。受け入れますか?」というオペレーターの声に
「ノー」と答えている私がいた。
もう一度同じ事があり、それからビンスとの縁も途絶えた。
The End