柘榴の実を食みながら鬼燈(ほおずき)は思う。
人にあまり興味のない自分もいつか、この柘榴のように熟れる時が来るのだろうか? 人を、愛せるようになるのだろうか…?

──空想だ、そんなモノ。

ぐじゅりと口に含んだ実が音を立てて潰れる。
人とは見下し嘲ることを好みとし、平気で他人を貶め蹴落とす。信用するだけ無駄だ。
この考えを話せば『達観してんなぁ』と笑われる。もしくは『考えすぎだろ』と心配される。そんなオチを何度も繰り返して、考えを話すことを諦めた。話すだけ無駄だと思うようになった。
気がつけば手の内の柘榴はなくなっていてほんの少しだけ、しんみりと寂しく思う。もう少し味わって食べれば良かった。考え事などに耽らずに…。

あれぇ、何してんの〜?

そんなことを思っていると向こう側からアイツが走ってくるのが見えた。
途中で勢い余ってコケているのが見える。
それに思わず笑みを零しながら俺は立ち上がりソイツの方に向かう。

なぁにしてんだよ、ばぁか

そんな風に憎まれ口を叩きながら。