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・まず、考えられる子育て場面は次の3つに集約できます。
  1. ①子供が熱心だったり熱中したりしている場面(「活動場面」)。
  2. ②子供に笑顔がなく問題を抱えている場面(「不安場面」)。
  3. ③普段リビングルーム等でくつろいでいる場面(「日常場面」)。
・更に、そこでの支援方法は次の2つのうちどちらかです
  1. ①「活動場面」や「不安場面」で子供を見守ったり指導したりして社会的自立を促す父性
  2. ②「不安場面」や「日常場面」で、特にハグや共感で子供の気持ちを受容したり、「安心7支援」全般を施したりして、子供に安心感を与える母性
・なお、②「不安場面」の中でも、その問題がそれほど深刻でなく、子供がその場で言動を直せるような場合(上記②-A)は、母性の後に指導を加える父性も施します(「母性⇒父性」というパターン)。
一方、問題が深刻な場合(上記②-B)は、子供に「自力回復力」が生まれるまで焦らないで待ちます(「母性のみ」のパターン)
・このように、大きく分けて3つの場面と2つの支援だけの組み合わせで考えれば、煩雑な子育てもその全体像を把握することがでます。その中には例えば、多くの親御さんにとって“鬼門”とも言える「イヤイヤ期」の指導さえも、上記の「問題がそれほど深刻ではなく、子供がその場で言動を直せるような場合」の「母性→父性」パターンとして含まれているので、親御さん自身の精神的な負担が緩和し、子育てに対する安心感にも繋がると思います。

・実際の子育て場面では、次の2ステップで考えれば、多忙な現場でも迷わず支援の仕方を決めることができます。
今子供が3つの場面のどこにいるか」を考える(スライド中①赤太矢印)が、それは容易に判断できる。
「不安場面」にいる時だけ問題が深刻かそうでないか」を判断すればいい(スライド中②赤太矢印)。

・私達が間違いやすいのが、次の3つです。
子供が熱中している時に、つい余計な口出しをしてしまうこと。
「日常場面では何の支援も必要ない」と油断してしまうこと。
◯一番間違いやすいのは、子供に問題が起きた時に、直ぐ注意してしまうこと。ここで私達が思い出すべきことは、児童青年精神科医の佐々木正美氏の「子供は『自分の気持ちを分かってくれる大人の言うことを聞こう』と思っている」という指摘です。「子供に問題が起きたら、先ず子供を受容(共感)する母性」と覚えておきたいものです。

・ここで気が付くのは、子育ての場面の中では、父性の働きが必要とされる場面に比べて、母性が必要とされる場面の方がとても多いということです(上記スライド中の肌色箱枠部分)。しかし現実の生活場面では、子育ては母親の役目」と言う世の中の誤った認識も影響してか、子供を指導する父性の働きを施す母親が多い印象を受けます。
・特に、子供の問題に対して父親と母親とが一緒になって子供を叱るということが起きると子供は逃げ場を失います。例えば「進路問題や父母等からの叱責によって自殺を図った」というケースは、正に、子供を受容すべき母親が子供を指導する父親と一緒になって子供を責めたことの結果ではないでしょうか。
因みに、私は児童青年精神科医の佐々木正美氏の著書を読んだ今は、先の「子供に問題が起きた時に直ぐ注意」と言う誤解を解いて子供に問題が起きたら先ずは子供の気持ちを受容する母性」と改め、更に「日常場面では何の支援も必要ない」と言う誤解を解いて日常場面では『安心7支援』で母性」と改める、この2点を守るだけで、今子供達の中に表立って見られる問題(「子供が言うことを聞かない」「子供が反発する」等)の大半は改善すると確信しています。