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・同様に、「ケース④」として、いつも部屋の片づけができない子供の事例について。

・始めに子供に働きかけるべきなのは、片づけの仕方をやって見せる母性の働きだったでしょうか。それとも「ちゃんと片付けなさい」等と自立を促す父性の働きだったでしょうか。

・この場合、始めに命令的な指導をしてしまうと、やはり子供の反発心を招いてしまう恐れがあるので好ましくありません。ここでは、決して怠けているのではなく、本当は片付けて褒められたいのに、片づけ方が分からないためにできない子供の気持ちを察して、やり方をやって見せる母性を施してから、その後で「さあ、今見たとおりにやってごらん」と子供に任せて見守る父性を施します。

・すると子供は「本当は片づけをしたいのにやり方がわからないからできない気持ちを分かってもらえた」と受け止め、「これならできそう」と思うようになり取り組みやすくなります。

・うまくできないようなら、始めは物を仲間分けする仕方だけを教えて、それができたら、次に分けた物をどこに置くかを教えて…というように、スモールステップで少しずつ教えましょう。

・ここでのポイントは「始めに、やり方がわからない子供の気持ちに共感して手本をやって見せる。その後に、子供に任せてやらせてみる」ということになります。



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同様に「ケース④」として、いつもスーパーの中で走ったり騒いだりする子供の事例について。・始めに子供に働きかけるべきなのは、「どうすればいいか?」という目標を具体的に教えて、期待を寄せる母性の働きだったでしょうか。それとも走った子供に「走るんじゃない」等と自立を促す父性の働きだったでしょうか。

・この場合、始めに命令的な指導をしてしまうと、やはり子供の反発心を招いてしまう恐れがあるので好ましくありません。ここでは、本当はお母さんから怒られたくないのに、どうしていいか分からずつい走ったり騒いだりしてしまう子供の気持ちを察して具体的な目標を与える母性を施してから、その後で、「さあできるかな?やってごらん」と子供に任せて見守る父性を施します。その際「やってごらん」と穏やかに伝えると、一層子供に伝わりやすくなります。すると、子供は「何に気を付ければいいかを分かりやすく教えてもらった」と受け止め、「これならできそう」と思うようになり取り組みやすくなります。

・ここでのポイントは、「始めに、できそうな目標を与えて期待する。その後に、子供に任せてやらせてみる」ということになります。

・ところで時々、親が「何度注意したら分かるの!」等と叱る場面を見聞きします。そのような場合は、より慎重な対応が求められます。なぜなら、少なくとも思春期を迎えるまでは、子供はたとえどんなに厳しくされても親の言葉を受け止めようとすることが多いです。それにも関わらず、その親から言われたことを何度注意されても直せないという背景には、もしかしたら、「この人の言うことをがんばろうと思えない」という「回避型」の愛着不全や、「どんなにがんばってもできない」という発達障害等、何らかの深刻な要因が潜んでいることが考えられるからです。

・その場合には、先程の事態が深刻な「ケース①」と捉えて、子供を指導する言葉はかけず、子供のありのままを受容する母性を働きかける必要があります。例えば、発達障害が疑われるようなら「がんばろうと思ってるんだよね」。愛着不全なら「何か頑張りたくない嫌な気持ちがあるんじゃない?」、等の対応が考えられます。