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・(前回と)同じく、「場面①」の「不安場面」の子供への支援に関わって、家族への言動が乱暴な子供の事例を紹介します。
・(前回のように)やはり「子育て三場面表」に従って、微笑みながら「何かお母さんに話したいことがあるんじゃない?」等と穏やかに話しかけ子供の話を聞こうとする母性の働きを施すことによって、子供は「自分のモヤモヤした気持ちを分かってくれた」と受け止め、「自力回復力」を発揮し、「乱暴なことは言わないようにしよう」という気持ちも湧いてくるでしょう。
・一方、「親に向かってそんな口をきくものじゃない」等と子供の社会的自立を促す父性の働きは、家族に対して反発している子供を更に突き放すことになります。
・以上のことから、このケースのポイントは、「言動が乱暴な子供には、先ずその子供が心の中に抱えている不安や不満に共感する」ことです。
・同じ場面①として挙げた登園渋りのケースと、このスライドのケースに共通しているのは、いずれも親が知らない間に長く子供に不安とストレスを与えており、問題が深刻だということです。各ケースのポイントとしてまとめたように、問題が深刻であればあるほど、父性の働きによる指導を促す事は避け、子供が「自力回復力」によって無理なく立ち直る姿を焦らず待つべきです。



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・次に「場面②」として、「子育て三場面表」の、安心感が満たされたことで問題が解消され、前向きな探検行動を行うことができる「活動場面」にいる子供への支援について。ここでは、夢中で虫取りをしている子供の事例を紹介します。
・この背景(スライド内下部2段)には、それまでに子供を受容し安心感を与える母性による支援があり、そのおかげで、今この子供は問題なく熱中して活動できていると考えられます。
・「子育て三場面表」によれば、この「活動場面」にいる子供に必要な支援は、子供に優しく助言したり代わりに虫を取ってあげたりする母性の働きだったでしょうか。それとも、夢中で虫取りをしている子供を見守り、SOSがあった時に助言する父性の働きだったでしょうか。
・この場合、せっかく夢中で取り組んでいる子供に助言したり手伝ったりする母性の働きは過保護過干渉になり望ましくありません。
・この場合は、父性の働きによって子供に知的好奇心が働き、「もっと虫のことを知りたい」「もっと詳しくなりたい」等と思い、更に意欲的に探検行動を行う、一段次元の高い「活動場面」に移ると考えられます。
・このケースのポイントは、「親が余計な助言をせず、活動に熱中させ、活動の様子を見守る」ということです。



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・次に、「場面③」として、「子育て三場面表」の3つ目の「日常場面」にいる子供への支援について紹介します。
不登校に陥る生徒の要因について調べたある調査によると、本人の不安や無気力」が突出して1位、「いじめ以外の友人関係」が2位、「親子の関わり方」が3位、「友達からのいじめ」は僅か0.3%でした。
自殺に関する別の調査によると、自殺の要因は、「家庭不和」が1位、進路問題」が2位「父母等からの叱責」が3位、「友達からのいじめ」は8位でした。
・これらの中で、赤枠で表示した要因を見ると、その背景には普段の家庭内での親との関わり方に起因する不安感があるのではないかと推測されます。その安心感不足のために、いざという時に挫折してしまうのではないでしょうか。
・このことから、子供達には、いざという時に備えて日頃から一定の安心感を確保する、いわば「安心貯金」のようなものが必要であると考えます。具体的には、子供に安心感を与える働きとして「安心7支援」(「まとめプレゼンテーション5」参照)を施します。
・因みに、交流分析学という心理療法の概念に、「ストロークバンク」、いわゆる「心の栄養の財布」という概念があります。誰もが持っているこの財布に「心の栄養」が不足すると、心身のバランスを崩すと言われていますが、上記で挙げた「安心」は、この「ストローク」と同じ意味を持つものです。
・因みに、「不登校は1日3分の働きかけで99%解決する」の著者である森田直樹氏は、子供が不登校等に陥らず健全に心を発達させるためには、心の栄養に当たる「自信の水」が必要であり、その水は子供が周りの人から認められたり親から愛情を受けたりして作り出すものであること、更に「不登校新聞」の編集長である石井志昂氏は、子供の自己肯定感を育むうえで、普段から親子で“雑談”を行うこと、子供の話を親がコントロールせず“傾聴”的態度で聞くこと、子供の前で笑顔でいることが大切であると、それぞれ指摘しています。森田氏の言う、心の栄養としての「自信の水」を作り出すために必要な、周りの人から認められたり親から愛情を受けたりするやり取りや、石井氏が言う「親子間での雑談」等の際に親が行う、見る、微笑む、否定せず聞く等の行為は、正に「ストローク」としての「安心7支援」に当たるものです。