(文字が小さくて見えない場合はダブルタップ後に拡大)


・このスライドでは、今回の二つ目の柱に当たる「不安型」愛着不全に対する改善策について、父性の働きを持つ「見守り4支援」を提案します。
・「不安型」愛着不全は、第2章でお話ししたように、子供に対する親の愛情が強過ぎて不安定であるために陥るタイプでした。これを改善するためには、子供と適度に距離を保ち、活動の様子を見守りながら社会的自立を促すための具体的な支援方法が必要と考えました。
・そこで、各専門家の指摘を更に一般化・具体化した支援行為として、「見守り4支援」を次のスライドのように定義しました。
 



(文字が小さくて見えない場合はダブルタップ後に拡大)


・その4つの支援とは、
  1. ①まずは「子供に任せるかどうかを決める」
  2. ②その後「一度子供に任せると決めた活動中は、子供を微笑みながら見守る」
  3. ③ただし「子供がSOSを求めてきた時には優しく教える」(しつけをする上での指導を含む)
  4. ④最後に「子供が上手にできた時には、子供を褒める」
・この「見守り4支援」の場合は、「安心7支援」と違い、どれか一つだけを選んでもよいというものではなく、できるだけ4つとも気を付けてほしいものです。
 


(文字が小さくて見えない場合はダブルタップ後に拡大)


・このスライドでは、私が父性の働きを持つものとして個人的に提案する「見守り4支援」の働きが、本来の父性の働き(精神科医の岡田尊司氏の考えによる)に沿ったものであることを説明しています(言わば「見守り4支援」の品質保証)。・「見守り4支援」は「親が子供と適切な距離をおき、社会的な自立を促す」という重要な点において本来の父性の働きと共通しています。
・更に父性の働きについて以下のことを定義しました。
「『父性の働き』とは、『見守り4支援』によって、子供との間に適度な距離をおき子供の様子を見守りながら、必要に応じて適宜指導し、社会的に自立できる力を養う、すること」
「『父性による厳しさ』とは、子供が自分でできることは自分でさせること」
・これらのことから、例えば、子供にあれこれ指導することが多いお父さんには、もっと子供に任せて見守ってほしいです。お母さんが子供に必要以上に過保護や過干渉をしているような時には、「もう少し子供に任せてみよう」と声掛けしてほしいです。もしご夫婦が一緒に子供を注意するようなことがあった時には、お母さんに「注意は俺がするから母さんはあの子のフォローを頼む」等と、子供を指導する父親と子供の気持ちを受容する母親と、それぞれの役目を分担してほしいです。
この支援は一般的にどの家庭でも、特に自我が芽生える2,3歳頃の第一反抗期(「イヤイヤ期」)や、自我が発達する小学校高学年から中学生にかけての第二反抗期、更に、子供が積極性を学ぶべき3歳から5歳頃の幼児後期に弱くなりがち、つまり、自分の気持ちを主張するべき発達段階にいる子供に対して逆に親が口を出し過ぎる傾向にあるようです。
・我が国のこれまでの父親のイメージを考えれば、「子供を指導する」という側面が重要視されてきた印象を受けますが、今回は、昨今顕著にみられる親による暴言や虐待に配慮し、敢えて「距離をおいて見守る」という側面を強調しました
・基本的に子供は、母性によって「安全基地」が確保さえされていれば、後は親が手を出さず見守っているだけで健全に成長していくと指摘する専門家もいます。
・3〜5歳の幼児後期は子供が“積極性”を身に付けるのに相応しい時期です。特にこの時期に子供の興味・関心に任せて取り組ませていると、脳の前頭葉が発達し、更に将来の仕事への問題解決能力も身につくとされます。東大生にはこの時期に親から「◯◯しなさい」と言われたことがないという共通点があるそうです。つまりは子供の個性を伸ばすも潰すも父親次第というわけです。