【今回の記事】

[「子どもの躾をちゃんとしないから!」幼稚園で息子がお友達をかんでしまった話【後編】まんが「子どもの躾をちゃんとしないから!」幼稚園で息子がお友達をかんでしまった話【後編】まんが | ママスタセレクト前回からの続き。幼稚園年少のときにAくんに読んでいた本を取り上げられ怒った息子がAくんを噛んだことがきっかけで、Aくんママから無視されるようになりました。息子はそれ以来、噛むのをやめたのに、Aくんはまだ度々息子のものを取り上げたりする意地悪が続いていました。 Aくんママは連絡先がブロックされているので連絡は取れず(もリンクselect.mamastar.jp


【記事の概要】

《幼稚園年少のときに、読んでいた本をAくんに取り上げられ、怒った息子がAくんを噛んだことがきっかけで、Aくんママから無視されるようになりました。息子はそれ以来、噛むのをやめたのに、Aくんはまだ度々息子のものを取り上げたりする意地悪が続いていました。

 Aくんママは連絡先がブロックされているので連絡は取れず(もし話せたとしてもこじれるだけだったと思いますが)。あまりにAくんのいじわるがひどいときは幼稚園の先生に相談しました。Aくんのいじわるに我慢できずに息子が泣き出し、Aくんのいじわるに気付いた先生が間に入って取り持ってくれたこともありました。》


【感想】

 精神科医の岡田氏は、「人は『安全基地』によって安心感が満たされると、自主的に適切な『探索行動』をとることができる」という愛着の考え方をもとに、人の問題症状を安心感の不足の表れと捉え、それを充足することによって問題症状を改善しようとするが提唱する「愛着アプローチ」の考え方を提唱しています。


 今回の場合、問題症状を見せているのは、A君とその母親です。ではその2人の「安心感の不足」はどこにその原因があるのでしょうか。


友達ママの不安感の原因

 記事によれば、A君が本を取り上げたところ息子さんがA君を噛んだことをきっかけにA君ママからの無視が始まったとのことです。このことから、私は、その際の双方の話し合いが不十分であったために、A君ママの不満が解消されなかったのではないかと考えています。なぜなら、A君がした「本を取り上げた」という行為と、この息子さんがした「相手を噛んだ」という行為とでは、明らかに傷害行為である後者の方に落ち度があると考えられます。そうなると、仮に、双方の話し合いが不十分であった場合、噛まれた方の子供や親御さんのほうに不満が残りやすいと思うからです。このお母さんも「息子はそれ以来噛むのをやめたのに、Aくんは…」と思っていて、少なくともこの文面上では「あの時きちんと謝ったのに」とは書かれていません。噛まれたA君も、本人の中に残っていた不満が、「ママも『太郎君が悪い』って言ってるから」と話す母親によって更に増大されていることが十分に考えられます。噛んでしまった方の子供や親御さんが十分に相手側に平身低頭に謝罪していれば、現在もっと別の展開になっていたのではないかと思います。

(以上は、あくまでも記事から分かることを元にした私の推測であることをお断りしておきます)


友達ママの問題改善の方法

 相手の母親は成人ではありますが、現在は下記の「②不安場面」にいると考えられます(「不安感が増えた時に不適切な言動が増えるのは大人も同じです)。つまり、下記の原則を応用すれば、この母親の問題症状を改善するためには、まずその抱いている思いをよく聞き共感するという母性の働きを施す必要があります。

この場合では、仮に最初のトラブルのときの謝罪が十分でなかったとすれば、この息子さんの母親が、「あの時は息子さんのA君にとても痛い思いをさせてしまって本当に申し訳ありませんでした」等ときちんと謝る(相手の気持ちに共感する)必要があると思います。

 その上で、そのお母さんが抱える問題は深刻なものかそうでないかを考え、次の方針を決めます。仮に、不満が根強く深刻だと判断された場合(下記Bケース)には相手方に「自力回復力」が生まれるまでひたすら共感・謝罪を続けるべきでしょう。逆にお母さんの表情がそれほど硬くないと思われた場合には、幼稚園の先生が「ところで、A君の行為はお母様としてはどのように受け止めていらっしゃいますか?」と柔らかに相手の受け止め方を改善する父性の働きを加えると良いのではないでしょうか。


安心感が大切なのは大人も同じ

 今回の記事では「愛着アプローチ」や「子育ての基本」の原則を大人に応用して考えました。繰り返しになりますが、大人であっても、不安感が増えた時に不適切な言動が増えることはもちろんのこと、普段の人間関係の中でなされる「安心7支援」(微笑んだりや話をよく聞いたりすること等)によって良い信頼関係を結び「安心貯金」をしておくことが大切であるのは同じです。

 パートナーや職場の同僚や知人が不安感を抱える背景は様々ですが、原則は、問題を抱えている人を前にした時に、「この人は困った人だ」と考えるのではなく、「この人はどんなことで困っているのだろう」とその人の立場に立って考えることです。そうすることによって、その人がその後の他者からの助言を受け入れることができるようになったり、場合によっては、その人の中に「自力回復力」が生まれることで自ずと問題改善の糸口が見えたりすることもあるでしょう。