【今回の記事】

記事《他人の顔色ばかりうかがって受け答えをする娘が心配です【小川大介先生の子育てよろず相談室】


【記事の概要】

《ある母親からの相談》

 最近娘(5)は他人(特に私)の顔色を覗って受け答えするようになった。原因は自粛期間中の約2か月、私が余りに怒り過ぎてしまったから。例えばオンラインレッスンになった習い事のフラダンスをちゃんとやらないので「何でやらないの?やらないんだったらもういいよ。やめる?!」みたいな冷たい叱り方をしてしまったり


《小川先生からの回答》

 お母さんががんばろうとすればするほど、実は子どもに対して許してあげられる遊びの部分というのは狭くなっていく。がんばり過ぎないための一番の方法は、旦那さんに甘えること。

 実はこれがなかなか難しい。がんばり過ぎているお母さんは、たいてい旦那さんに対しても弱みを見せたくないと思ってしまっている。「突っ込まれたらムカつく」みたいな気持ちもあり、旦那さんに対しても立ち入らせない雰囲気を出しています。


【感想】

 このお母さんの根底には「子育ては母親の役目」という認識、自負があるような気がします。

 もちろん、子どもが上記表の「内向、萎縮、抵抗、攻撃」等の問題を抱えている時には、母親が愛情エネルギーを与えなければなりませんが、そうでなければ無理に母親が頑張る必要はありません。むしろ習い事という自分の能力を高める、いわゆる「探索行動」をしている時は父親の出番です。母親は自らのお腹を痛めて子どもを出産しているため、ややもすると子どもとの距離が近くなりがち(過干渉が起こりやすい)ですが、父親はある意味別人格なので、子どもの探索行動を見守るのに適しています。回答で指摘されている 「子どもに対して許してあげられる遊びの部分」も確保できます。

 また、回答で指摘されている「旦那さんに対しても弱みを見せたくないと思ってしまっている」突っ込まれたらムカつく」という母親の傾向は、このお母さんに限ったことではなく、一般的に、旦那さんのことを一段低く見ているお母さんが少なくないような気がします。そうなると、例えば、以下のような父性の介入は難しくなるでしょう。


「充電場面」も「活動場面」もお母さんが頑張ろうとするのはどうしても無理があります。「母親と父親との役割は別」という認識に立って、ご夫婦が互いの役割を尊重し合うことが大切ではないでしょうか。


 なお、一人親家庭にあっては、親御さんの中で、今子どもがどちらの愛着場面にいるかを正しく判断し、それに応じて母性か父性かのギアチェンジをする必要があります。その際に参考になるのが上記の愛着場面表だと思います。