【今回の記事】

「私の教育って間違えてる?」勉強しない子供になった原因は親のこんな言動だった!?


【記事の概要】

   いくらガミガミ言っても勉強しない我が子に手を焼いているという母たち。やる気のない子供を机に向かわせるのは労力のいることです。「自分から勉強する家の子が羨ましい」などと思ってしまいますが、実は子供たちにも言い分があるようです。


◯子供のやる気を削ぐ親の言動

・怒鳴ってコントロールする(詳細は上記「今回の記事」参照)

・長々と説教をする(同上)

・子供の行動を待てない(同上)


◯お金をかけるだけが愛情ではない?

   近年、以前にも増して子供たちの学力が二極化してきていると言われています。幼児教育や進学塾などを利用するにはそれなりの費用が必要です。その費用をかけられる家の子供程学力が高いといわれていますが、実際はそうとばかりは言えないようです。
   塾で仕事をしていた方にお話を伺ったところ「塾には一定数の富裕層の子息は通っている。しかし、その子供たちの中にも二極化は見られる」とのお話をしてくれました。詳しく聞くと「金銭的に恵まれていても、親が子供との関りを好まない家の子は学力があまり高くない。親から関心を持たれていない子ほど学習意欲を持っていない傾向を感じる」とのこと。どうやら、お金をかけるだけで子供のことを見ていない家の子供は学習に喜びを感じていない様なのです。
   また、「成績をあげろとだけ言って何もしてくれない母親が嫌い」という悩みを抱える生徒さんもいるそうです。確かに、親としてはお金をかけることで安心してしまうところはあります。それに対し、子供たちは「お金をかけることよりも愛情をかけること」を望んでいるようです。


【感想】

   金銭的に恵まれていても親から関心を持たれていない子ほど学習意欲を持っていない傾向を感じるとの記事。

   

子どもの心を育てる

   以前あるTV番組で、女性芸能人が涙を流しながら「私は我が子が何一つ不自由する事が無いようにしてきたが、あの子は私に対する敵愾心(憤りや闘争心)を捨てる事はなかった」と言ってたことが印象的でした(「愛着の話 No.1 〜真の愛情とは何か?〜」参照)。「真の愛情とは何だろうか?」と考えさせられました。


「愛情」とはお金ではなく、子供との間に安心・信頼に基づく“愛着(愛の絆)”を築くことです。そしてそれは経済的に恵まれない家庭でも、親の態度次第で可能なこと。意識次第で誰でもできることです(例「安心7支援)。


生き生きし始めた男の子

   私が現職だった頃、ある学童保育の様子を見に行った時のことです。その時はちょうど子供たちが学校から出された宿題を始めようとしている時でした。その中に、学校では担任から「生活意欲が殆ど無いダメな子」という評価をされていた男の子S君がいました。

   勉強タイムが始まってすぐに、私はS君のすぐ側に立って勉強の様子を見ました。宿題は算数のドリルでした。始めの3問程を解いたところで私は

おお、全部できてる。優秀だなぁ

とS君に聞こえるように呟きました。すると彼は、見る見るやる気を出し始め、問題を解いていきました。

   その後、あっという間に宿題を終わらせたS君は、誰から言われるでもなく、テキパキと勉強道具の片付けをしてランドセルに入れ、帰り支度を済ませました。それを見ていた学童の先生がこう話されました。

「こんな 生き生きしたS君、初めて見た…」と…。


子どもは“愛の絆”で強くなる

   この時に私がした行為は、子供との間に「愛着(愛の絆)」を形成する愛情行為「安心7支援」の中の「子どもの中にある良さを探して褒める」です。大人の価値基準(「ここまで出来ないと褒めるに値しない」等)で子どもを評価せず、子どもの中にある良さや伸びを探して、それを積極的に評価する姿勢が大切です。

   具体的には、いわば「やり始めを褒める」法。詳細は、【褒め方】〜生活意欲を高めるために、“子どもの中の良さ”と“努力”と“人への貢献”を褒める〜」を参照ください。そこでは次のように述べています。

「普段、すぐにやる気が無くなることが多い子どもに対しては、子どもが何かをやり始めたら、できるだけ早くほめましょうつまずいて子どものやる気が崩れてしまう前にほめる事ができれば、子どもの意欲は上がります。(例「さっそくがんばってるね!」「(ドリルなど)始めの◯問、全部できてる!」「(漢字ドリルなど)とても丁寧に書けているね」等)」

 正直私自身、S君の“変化”はもちろんですが、だったあれだけの褒め言葉で変わる程これまで認められることなく生活してきたのか?ということに驚きました。そこに思いもかけず、自分を褒めてくれる大人が現れ、その人間からの「愛情」(愛の絆=愛着)を感じとり、自分に自信を持ち、見違えるような“探索行動”を見せてくれたのでしょう。これこそが“安全基地”を獲得した子どもの姿だったのだと思います。

 冒頭の「自分から勉強する家の子が羨ましい」との意識は、実はこのS君のように、あまり褒めてこなかったことの裏返しなのではないでしょうか。