6. 「安心7支援」は子どもの自己肯定感を高める支援

   子どもが親との間に「愛着」を形成すると、その親は子どもにとっての「安全基地」となります。すると、危うい事態が起きても直ぐ避難できる場所ができるので、失敗体験は減り、逆に成功体験が増えます。その事によって自己肯定感が高まり、その後も安心して様々な課題に挑戦できるようになります。
   何より、母親の微笑み、称揚、共感等が「そう、今のあなたでいいのよ」と、子どもに自信を与えます。

7. 「安心7支援」は発達障害や精神的に不安定になっている子供をも安心・安定に導く支援
  
この「安心7支援」による支援は、愛着不全の子どもだけに効果があるものではありません。
   先ずは、“感覚過敏を特徴とする発達障害の子ども達にとっても、その症状の緩和に繋がります。周囲からの“冷たい言動”が、自分の心に突き刺さって不適応行動を起こすことが多い感覚過敏”の子ども達にとっては、温かく穏やかに接して安心感を与える「安心7支援」の行為はストレスの大幅な軽減に繋がります。
   更に、本来安定した愛着を持っているはずの健常児であっても、何らかのトラブルによって一時的にストレスを抱え気持ちが不安定になっていれば、その状態を安心・安定に導くうえでも効果があります。
「安心7支援」による支援行為は、正に“教育活動の原点”と言えるでしょう。

8. 「安心7支援」は愛着形成のやり直しができる支援
   精神科医の岡田氏によれば、
愛着形成が最もスムーズに行われる限界時期は“生後1歳半まで”とされています。しかし、愛着は生まれた後の生活環境によって形作られる後天性のものなので、仮にその時期に愛着を形成できなかったとしても、その後、生活環境(母親の関わり方)を適切なものに変えることによって、愛着形成のやり直しをすることができます。その場合は、上記の「安心7支援」と同じ接し方をします。
   ただし、それまで余り愛情を注がれて来なかった子どもに対して、新たにやり直しをしようとする場合、ある注意が必要です。例えば、10歳を過ぎた子どもでも、まるで幼児のように大人にベタベタと抱きついたり、抱っこをせがんだりする場合があります。この時に「もう赤ちゃんじゃないんだから」と、子どもからのスキンシップの要望を断わると、子どもは「自分は拒絶された」と認識してしまい、育て直しが失敗することがあります。子どもがどんな甘え方をしてこようとも、その気持ちを受け止めてあげましょう。

9. 「安心7支援」はより”で勝負できる支援
   愛着の大きな特徴は、それが“ある特定の人(ほとんどの場合は母親)”との間に築かれる特別な絆であるということです。そのことを「愛着の選択性」と言います。

   家庭の場合、社会的やり取りの相手は母親になりますが、保育所だと、保育士さんが仕事を分担したり、シフト制であったりするので、その相手が変わります。そのため、馴染みの相手や意思疎通の形式が変わり、赤ちゃんは不安を感じることもあります。そのことが「愛着の選択性」を揺るがします。

   では保育所に預けられると、皆が不安を感じて育つのかと言うと、そうではありません。実の母親との愛着形成がしっかり築かれていると、むしろ保育所の環境は、集団の中でも精神的に安定した状態で過ごす“たくましさ”を身につけるための絶好の練習の場になることでしょう。育児は時間より質が大切です。短い時間でも充実した関わりを持てば、母子間の愛着は十分に形成されるのです

   その「短い時間でも充実した関わりを持つ」ために重要になるのが、愛着形成の方法を具体的・限定的に定めた「安心7支援」です。働きながら子育てをしている方でも、帰宅してからの限られた時間の中で、愛着形成にとって重要な①〜⑥の行為を意図的に実践すれば、効果的に子どもとの「愛着」を形成することができます。逆に、時間がたっぷりあっても、するべき行為をしないでいれば安定した愛着が形成されることは無いのです。


10. 「安心7」は人間対人間の間で愛着を結ぶ支援
   このブログでは、主に親子間の関係に焦点を当てていますが、基本的に、愛着は親子間だけに限らず、人間対人間の間で結ばれるものです。学校の友人同士、職場の同僚同士、店員と客同士、恋人同士等、その関係は様々です。つまり、それらの人間関係を安心信頼で繋ぐのも、この「安心7支援」による行為なのです。