先日のテレビ番組「ウェークアップぷらす」(日テレ)で障害者の雇用について特集していました。更に「“精神障害者”の雇用率が他の障害種に比べて低い」という点にスポットを当てていました。
   その中で、番組に出演した中田宏氏(前横浜市長、現シンクタンク「日本の構造研究所」代表)が次のような趣旨の発言をしていました。
知的障害者が持つ“こだわりの強さ”は仕事をする上で有利に働く


  “知的障害”は、平成17年に「発達障害者支援法」が施行され“発達障害”の概念が登場する以前からある障害ですが、実は“こだわりの強さ”を持っているのは、この知的障害ではありません。

   さて、先の「精神障害」というと、昔の「精神分裂病」のような誤ったイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。この場合は、一般の会社への就職を希望するほど、一見しただけでは普通の人と変わらない、知的遅れのない“発達障害”の人のことを指していると考えられます(「自閉症スペクトラム障害やADHD等の発達障害が精神障害に含まれる(⇨https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/s45-84.html)」ということ自体あまり知られていないかもしれません)。つまり、現在の学校の中で言えば、特別支援学級ではなく、通常学級に在籍している子ども達も先の「精神障害者」の対象となることがあるのです。
   更にその中でも、先に紹介した、仕事をする上で有利に働くとされた“こだわりの強さ”を持っているのは自閉症スペクトラム障害なのです。

   一見して障害者と分かる人は、知的遅れのある自閉症スペクトラム障害であることがほとんどです。そういう人は、一般の会社への就職ではなく、障害者授産施設(生活困窮者や障害者などで就業能力の限られている者に対し、就労または技能の修得のために必要な機会および便宜を与える施設)等を利用するケースが多いようです。

  “発達障害”を含む精神障害者の雇用の低さが問題とされる昨今、先の中田氏のような著名な政治家でさえ、「仕事の遂行に強力な武器となるこだわりの強さを持っているのが、自閉症スペクトラム障害という精神障害者ではなく知的障害者だ」という認識を持っています。このような人がトップにいる自治体のような組織では、そのトップから「知的障害者を多く採用しなさい」と言う指示が出されることも十分考えられます(もちろん、知的障害者を否定するものではありません。今回はあくまで、中田氏の「知的障害者が持つ“こだわりの強さ”は仕事をする上で有利に働く」という発言を受けての話です)。このようなことは、看過できない現代社会の“問題”と言わざるを得ません。

   私は、「この課題」を生む一つの要因と挙げられるのが、発達障害から目を背け続けてきた“メディア報道”だと思っています。以下にその理由をお話しします。
(長くなったので、次回へ続く…)