東大生の多くが子どもの頃にしていた「リビング学習」
   
東大生の多くが子どもの頃にしていた学習法として話題の「リビング学習」。ただし、リビングルームで学習させれば、どの子どもでも学習効果が上がるというわけではありません。やり方を間違えると、効果が上がるどころか、逆に子どもの学習意欲を減退させてしまう場合もあるのです。以下に、その「リビング学習」のメリットや注意点について考えてみたいと思います。

「リビング学習」のメリット
「リビング学習」には以下の5つのメリットがあると言われています。
1.リビングには勉強を妨げる“誘惑物”がない
2.適度な緊張感と安心感がリビングにはある
3.分からないところはすぐに親に聞くことができる
4.リビングの適度な雑音で集中力がつく
5.兄弟・姉妹でリビング学習を行うと更に効果アップ

   確かに、自分の部屋には、漫画やスマホ等の様々な“誘惑物”があることに加えて、誰からも見られないという状況下にあるため、ついそれらの誘惑に負けてしまいがちです。また、勉強を進める中で、分からない問題に遭遇することは、それだけで勉強を続けようとする意欲が減退してしまうこともあります。その一方で、リビングには“誘惑物”が少ないうえに、親から見られていることで、適度な緊張感がうまれます。更に、分からない問題があれば、近くにいる大人にすぐに質問することができます。
 しかし、上記のメリットの中で、子どもにとって最も大きなものは「安心感」だと思います。なぜリビングには安心感があるのでしょう?それは、リビングに一緒にいる親に対して「愛着愛の絆)」を感じることが出来るからです。そのことによって、子どもの脳内には別名「幸せホルモン」とも呼ばれる「オキシトシンホルモン」が分泌され、子どもの気持ちが落ち着きます。つまり。その環境下では、子どもは余計な緊張に苛まれることなく、安心して伸び伸びと勉強に取り組むことができるのです。

「リビング学習」の注意点
   その一方で、「リビング学習」を行う場合には、以下のような注意しなければならない点もあると言われています。
1.質問にはいい加減に答えない
2.テレビはつけない
3.子どもを監視し過ぎない
4.兄弟・姉妹と比べない

「テレビはつけない」ことは、子どもにとっての“誘惑物”を減らすうえで必要です。「兄弟・姉妹と比べない」ことも子どもの意欲を減退させないために大切です。
   では、なぜ「子どもを監視し過ぎない」ことが大切なのでしょうか?それは、親の子どもを「監視する」行為は、子どもが親との「愛着(愛の絆)」を感じることを妨げ、「安心感」を提供しないことになるからです。子どもが親との「愛着(愛の絆)」を感じるためには、「愛着」を形成する為の「愛着7」のような愛情行為が必要です。そのうえで、「子どもを監視する」、つまり「子どもを見張る」という行為は、「愛着7」の「子どもを見て微笑む」行為と正反対のものです。これでは、子どもは親に対して「愛着(愛の絆)」を感じることはできません。子供がリビングでしている勉強の様子を親が微笑みながら温かな眼差しで見守っている、そんな穏やかな環境の中でこそ、子どもは安心して学習に集中することができるのです。
   また、上記の注意点の「質問にはいい加減に答えない」という点も、「愛着7」の「子どもの話をうなずきながら聞く」に反します。子どもから質問を受けたら、親はその質問をうなずきながら真剣に聞かなければなりません。それによって、子どもは「自分の話を真剣に聞いてくれている」と親の愛を感じるのです。いい加減に応える親に対して愛を感じることはできません。当然「愛着」も生まれず、子どもの「安心感」も無くなってしまうのです。
 
「リビング学習」を支える「自立4支援」
    先の「子どもを監視する」という親の行為は、子供の行動で親が気に入らない点があった場合、やり直しをさせようとする干渉意識の表れです。子どもにとっては、いつ、親から口うるさく文句を言われるか分からない環境の中では、安心して学習に取り組むことはできません。リビングでの学習は、同じ部屋に親がいることが前提になるわけですから、親の意識次第で“諸刃の剣”となるのです。親は、子どもに任せ優しく見守り、子どもから質問を受けたときだけ優しく教える必要があります。つまり、「リビング学習」をさせるうえでは、「自立4支援」(「①(子どもに)任せて②見守り③諭して④褒める」)による親のサポートが必要なのです。