【今回の記事】

【記事の概要】
   平野はもがき続けていた。15歳で出たソチ五輪で、日本人最年少の銀メダルを獲得。そこからの4年間、銀を超える輝きだけを求めてきた。「自分を追い詰めてまでやらなきゃいけないものを楽しさ以上に感じていた」。
   命の危険がつきまとう高難度の技を究めようとする日々に「全く楽しくない」とこぼしたこともある。米国では若者を中心に手付かずの雪山を自由に滑る映像制作が盛んだ。競技性を究めるのか、娯楽性を追うのか。平野は技を追い続けた。
 実家は新潟県のスケートボード場。4歳からスノーボードにも乗った。父の英功さんは大きなエアマット施設を置き、空中姿勢や踏み切りを習得できる環境を整えた。父と2人、実家と雪山の往復で技を磨いてきたからこそ、競技者としての「プライドもある」。
 求道者の一念は私生活まで変えた1日1食に徹し、飲み物は水だけ着地の衝撃に耐えるため、時間さえあれば腹筋を鍛えた。彫刻刀で刻みを入れたような腹部は「しんどい思いをしないと勝てない」という禁欲的な春秋の産物だ。
 昨年3月の国際大会では技の着地に失敗、左膝靱帯や肝臓を損傷したが、着地点は見失わなかった
{384E9940-C272-4927-B190-9D6DAC64BD70}

試合で誰も決めたことのない4回転の連続技を今年1月、プロ最高峰の賞金大会「冬季Xゲーム」で初めて成功させて優勝。この日も同じ技に挑み、五輪史上初めて決めてみせた。
 4年前より世界のレベルは上がり、「今まで一番の大会だった。今できる範囲では全力でやれた」。同じ銀ではない。汗と辛酸に磨かれた分、重くまぶしい。

【感想】
自分を追い詰めてまでやらなきゃいけないものを感じていた」
1日1食に徹し、飲み物は水だけ。着地の衝撃に耐えるため、時間さえあれば腹筋を鍛えた
しんどい思いをしないと勝てない」
「昨年3月の国際大会では技の着地に失敗、左膝靱帯や肝臓損傷

   平野選手は想像を絶する試練を経験してきました。昔の「スポ根アニメ(「巨人の星」「エースをねらえ」等)」時代であればいざ知らず、とくに現代の若者にとっては、耐え難い試練ではないでしょうか?それにも関わらず、まだ20歳にも満たない彼がなぜこのような試練乗り越えることができたのでしょうか?
   それは、彼がスノーボードが大好きだったからだと思います。人間は、自分の好きな事なら多少の“しんどい事”にも耐えられるのです。逆に言えば、好きなことを通してしか身につけれない力もあるということです。例えば、「1日1食に徹し、飲み物は水だけ。着地の衝撃に耐えるため、時間さえあれば腹筋を鍛えた」、これ程までに過酷な試練は、普通ならば耐えられないでしょう。しかし、平野選手にしてみれば、好きなスノーボードに打ち込んで来た結果、ソチオリンピックに出場し銀メダルを勝ち取り、「次回こそは金メダルを!」という大きな目標ができました。その目標があったからこそ、過酷な試練に耐える事ができたに違いありません。

   子供達も好きな活動があれば、大人が放っておいてもやります。そして、何かの壁にぶち当たっても、自分で頭をフル回転させて乗り切ります。自分で新しい工夫を発見する事も度々です。そのような活動を通して、知らないうちに、今の企業が新入社員に求めている力、“自主性”や“ねばり強さ”や“課題発見力を身につけていきます。ですから、子供が真に好きなことを見つけられるかどうかが重要になります。そのためにも親による強要干渉は禁物です。危険な行為だったり、他人や社会の迷惑になったりするようなものでない限り、子供が興味を惹かれた活動を尊重してあげたいものです。親から強制されて始めても、親の見ていないところでは手を抜き、中途半端な取り組みになってしまうこともあるのですから。

   もう一つのカギは、「好きな活動で身に付けた好きではない活動に活かせるか?」ということです。好きな事であれば誰でも集中して取り組む事ができますが、あまり気が進まない活動に対しては、往々にして自主的に取り組めないことが多いものです。平野選手程のレベルになれば、スポンサーがついて好きな活動をそのままその道のプロの仕事として活動することができますが、一般の子供であれば、自分が好きで入部した部活動と、職についた時の仕事とでは全く別物である場合が殆どです。それでも、生きていくためには、自分が就いた仕事にねばり強く取り組み続けなければなりません
   その「気が進まない活動に対してもねばり強く取り組む力」を身につける場の一つが、最低でも義務教育の9年間もの長きに渡る“勉強”だと私は思います。子供は誰でも遊びたい気持ちが強く、勉強はどちらかと言うと渋々やっている子供が殆どでしょう。しかしその勉強に対して、我慢して取り組めるか、投げ出してしまうか、そこが大きな分かれ道になります。私は学校で身につける知識自体はあまり意味を持たないと思っていますが、やりたくなくても、ねばり強くコツコツと取り組む態度から学ぶ忍耐力だけは子供の将来に役立つと思います。勉強に我慢して取り組めた子供こそが、好きな活動で身につけた力を自分が就いた仕事でも活かせる子供です。
   そのために重要なことは、「自分から進んで」「ねばり強く」という2つの目標のもと、取り組み続けることだと私は思います。